学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

学校教員が部活動顧問を担うこと

部活動のあり方については、教員の働き方、安全管理、生徒の健康、推薦入試との絡みなどの観点から論じられているが、教員と生徒との距離(感)という点からも考えられると思う。

授業にて、学生からの提案を受けて部活動のあり方を話した際に、次のようなエピソードを聞けたのが印象的だった。この君は、高校で運動部系の部活に入っていたが、その学校の教員でもあった部活動顧問の授業では「決して寝ない」という不文律が、部員の間であったという。

それは顧問に対する敬意の現れかと思いきや、あまりそうではなかったようだ。むしろ、授業中の態度が不真面目と判断されることで、なれるかもしれないレギュラーの座を失いたくない、顧問に「いい生徒」と思われることで、部活動上も有利に立ちたいという思惑のあったことを知らされて、なるほどと思ったのだ。

「生徒のことをよくわかっているから、部活動指導上も有効」という声もあるが、それは諸刃の刃で、まずいこともある。割り切りができず、野球そのものへの態度や能力の評価が他のことで左右されうる。

この君からはこんな話も聞いた。定期試験中、部員と顧問で試験対策のための、宿泊合宿が行われていたのだとか。学校のものかバスを使って山の家にといったところに出かけたそうだ。くわえて、顧問以外の教員も来て、教科指導を行い、しかも「この辺が試験に出るかも」と匂わすような発言もしていたという。この部だけがこんな合宿をしていたのかどうかはわからないが、「えこひいき」と批判されても致し方ないだろう。

こうした様相を学校管理の立場から見れば、いろいろなことを懸念する。学校行事ではないのに学校のバスを使うことはできるか、宿泊時に起こりうる「問題行動」は防げるか、特定の生徒への「補習」は認められるのか、と。だから、こうしたことを事前に聞いていたならば許可することはないだろう。ということは、この件を管理職は知らなかった可能性がある。そうならば学校経営上、適切ではない。かくも、部活動が学校教育上に占める位置はグレイである。

新しい学習指導要領で、「生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,学校や地域の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い,持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする」(中学校学習指導要領、2017.3告示)と、文部科学省は謳う。

けれど、①全員強制加入など、「自主的、自発的な参加」とは言えないこと、②「親しませ」とはほど遠い、勝利至上主義が跋扈していること、③「勉強が駄目なら、部活で頑張れ」と「学習意欲の向上」に資するものとなっている訳ではないこと、④「教育課程との関連が図られるように」と絵に描いた餅のままであること、現在の学習指導要領と変わりない。こんなふうに形式主義に陥り、形骸化された学習指導要領で、教育課程の公共性が担保されていると言ってよいのだろうか。






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by walk41 | 2017-07-13 15:35 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)
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教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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