学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

カテゴリ:ドイツのこと( 108 )

連立政権を前提にした政治

2017.9.24のドイツ連邦議会選挙が終わった。

A.メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟CDU/CSUは第1党を維持したものの、四年前の選挙から得票率は7.5%減、連立を組んでいた社会民主党SPDも5.2%減らした。これに対して、「ドイツのための選択」AfD、自由民主党FDP、左翼党Linke、緑の党Grüneは、いずれも得票率を増やした。ちなみに投票率は76.1%、1949年の連邦議会選挙以来、70%を割ったことはない。

比例代表制が完全に実現されているドイツでは、得票数が議席数に直接に結びついており、どこかの国のように、得票率が5割を下回っているのに、5割を大きく上回る議席を得るといったことはない。299の選挙区で一位だった候補者は議席を得ながら、得票数に応じた議席配分が比例的に行われているのである。個人も選び、政党選択もできるドイツのような仕組みに、日本はなぜしないのだろうか。

さて、この結果、どの政党も過半数を得られず、連立政権を余儀なくされる。前回も連立政権だったが、今回は「ドイツ・ファースト」を唱えるAfDが躍進したこともあり、支持政党の多様化がより進み、3つの党での連立も視野に入ってきた。

CDU/CSUが246、SPDが153、AfDが94、FDPが80、Linkeが69、Grüneが67(合計709)という議席分布では、第1党が政権に入るものの、そのパートナーは色々にあり得る。SPDとの連立で過半数を制することはできるが、それでは新味がないとの批判をかわせない。かといって、「人道としての難民受け入れ」を進めるメルケル首相にとって、AfDは連立相手になり得ない。 また、FDPやGrüneとの連立はあり得るのかも論点だろう。

いずれにせよ、価値多様な社会のもとでは、一党だけで政権を担うことは難しく、それゆえ交渉と妥協、修正が当然のように求められる。教育政策もこれと無縁ではあり得ず、いわば異なる色が混ざり合ったものとして位置づけられる。「権力の意思として教育政策」(宗像誠也)といったシンプルな命題が、いかに古ぼけているかがわかるというものである。


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by walk41 | 2017-09-27 03:18 | ドイツのこと | Comments(0)

知らないことが偏見を助長する

ドイツの連邦議会選挙結果、外国人排斥を掲げる政党、「ドイツのための選択」AfDが躍進、13.5%を占めるに至った。

この結果について分析が進められているが、次のページの結果は大変興味深いものだ。
https://www.buzzfeed.com/karstenschmehl/afd-waehler-waehlen-aus-enttaeuschung?bffbdeutschland&utm_term=.ffEjLA9JW#.mbbjQAnzD

どこの、どの世代の、どちらの性別が、この政党に投票したかを示す結果では、旧東ドイツの、70代以上を除く世代の、男性の投票が多いことがわかる。が、それ以上に興味深いのは、移民の背景を持つ住民が人口に占める割合と、AfDへの投票率がマイナスに相関しているというデータだ。

身の回りに移民の背景を持つ住民が多いと、彼ら/彼女らを排斥しようと主張する政党が支持を集め得ることは想像できる。両者は正に相関するという仮説である。けれど、今回の結果はその反対を示しており、移民の背景を持つ住民との関わりが少ないであろう人ほど、彼らを忌避、あるいは排斥しようとする可能性が考えられる。

知らないことが不安を掻き立て、遠ざけようとする。これが正しければ、共存するにはまずは知ること、関わりを持つことが肝要と導ける。書物を通して、あるいはwebを通してでもいいが、可能ならば、直に知ること、感じることがより豊かな理解を形成する。そのための手がかりとして、言葉を学ぶことも優れて重要だと言える。

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by walk41 | 2017-09-26 12:10 | ドイツのこと | Comments(0)

やっぱり美味しいBretzel

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ドイツに来ると思います。このパンBretzelの美味しさは、日本でなかなか味わえないなあと。

学校訪問先で、中休みの時間などに出して下さいますが、ご配慮と合わせて、有難いなと思います。ごちそうさまでした。



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by walk41 | 2017-09-25 08:31 | ドイツのこと | Comments(0)

学習環境を整える

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ドイツに限ったことではさらさらありませんが、教室に花や鉢を置くというのはいいなあと思わされます。

いわゆるロッカー置かれた観葉植物、気持ちを和ませてくれます。一つ部屋に二つくらいあるのを見ると、勉強もきっと進むことだろうと感じます。

この鉢はどこから、と校長に尋ねると、学校予算から生徒に買ってきてくれるようお金を渡すそうです。現金だとするとちょっと大らかなだなと思いますが、それでも自分たちが使う部屋を快適にしようとのメッセージは十分、生徒に伝わるでしょうね。

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by walk41 | 2017-09-24 17:13 | ドイツのこと | Comments(0)

怖い自動販売機

朝日新聞デジタル、中村江里子「パリからあなたへ 自販機で買う時は『無駄なお金を使うかもしれない?!』という覚悟を」(20170822)を面白く読みました。パリの自動販売機事情を紹介しています。

その中に、コインしか使えない、商品が出てこないこともあるので、出てくるとホッとする、お釣りが無事に返って来たことはあまりない、という行で、南ドイツでも似たようなものだなぁと思い出しました。

私は飲み物やお菓子の自販機をまず利用しないので、わからないのですが、 電車の切符を買う時に同じようなことを感じます。私の知る限り、お札は使えても20ユーロまで、50ユーロ以上は受け付けません。しかも、お札はなかなか飲み込まれず、戻ってくることもしばしば。うまく機械に入ってくれただけで「やった」と小躍りします。クレジットカードも受け付けるとありますが、読み込まれないことが多いです。しかもクレジットカードを使えたとしても、金額にもよるのでしょうが手数料を自動的に取られます。

また、お釣りが戻ってくることはなかなかないのです、これは本当の話。「トラブルがあればこちらに連絡を」と電話番号が書いてありますが、そんな気になるはずもなく、諦めることになります。ドイツ人の友人に愚痴を言うと、「みんな、時間を急いているし、そのままになることが多い」と返ってきました。こんないい加減なことが日常なんて、絶句ものです。

ミュンヘン駅構内のコインロッカーで、往生したことも思い出されます。1時間いくらだったか、預けたのはいいのですが、2時間ほどして戻って来たら、表示されていたのは6時間ほど預けた金額に。びっくりしましたが、取り出さない訳にはいきません。けれど、20ユーロ弱と大量の小銭を持ち合わせず、近くのキオスクに両替を頼んだら、規則で何ユーロ以上は小銭に替えられないと言われ、お店をハシゴすることになりました。電車の時間は迫ってくるし、結構なストレッサーでした。

何気なく利用している自動販売機ゆえか、その素晴らしさになかなか気づけないのですが、日本のそれは大したものだと思います。一万円札までがたいてい使える、クレジットカードも問題ない、お釣りが出ないなんて想像できない、(コインロッカーに対しても)ICOCAカードなども使える、災害時には無料で配られる設定のものもあると、嬉しい意味で驚かされます。関係する方々のアイディアと努力に深謝です。

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by walk41 | 2017-08-24 10:20 | ドイツのこと | Comments(0)

信じてもらえない教員の労働時間

ドイツから客人を迎えて、「ドイツの学校制度と社会」をテーマに学生に話をしてもらう。学生たちも事前に質問を用意するなど、おしなべて熱心に臨んでくれた。やりとりも結構できたかと思う。

その講演のあと、今は教育委員会におられる方を交えて交流をした。短い時間だったが、日本とドイツの教員の働き方についてひとつ焦点があり、そうなのだろうなと思いながら、改めて、日本の教員、とくに中学校教員の長時間学校滞在(家庭訪問なども含み)と休暇の短さを確かめる場ともなった。

ドイツの教員は、早ければお昼過ぎ、遅くとも夕方には帰宅する。もちろん、家で仕事をしている面もあるけれど、かといって、夜の9時や10時、著しい場合には日付を跨ぐまで学校にいるという、日本の少なくない教員とは比べるべくもない。もちろん、ドイツの学校の土日は完全に休みで、学校は閉められている。金曜日の午後、13時も過ぎれば、校内にいるのは掃除担当の女性くらいだ。そんなところからやって来た客人は、教員経験10数年の女性だが、「そんなに遅くまで何をしているのですか」と問われ、日本側が返答に困ったシーンもあった。

ドイツでは仕事が終わったあとの時間を、"feier Abend”(祝いの夜)と楽しく過ごすことを旨とすると聞く。これに対して日本では、教員に限らず、仕事以外の可処分時間が著しく短く、帰宅後は楽しむ時間少なく、寝て終わりという場合も少なくない、いわば過労死直前の社会なことが大きな違いとは言えるだろう。

50年も遡れば、ドイツも休暇の日数が日本と同様、少なかったと読んだことがある。が、この半世紀ほどの間に大きく違ってしまった。ドイツの教員ならば、休暇は6週間、「日本の小学校教員ならば2週間くらいかなあ」と日本側が呟いたことにびっくりされ、くわえて、「中学校で部活に懸命な教員ならば、休暇は年に数日ということも…」と言葉をつなぐと、信じられないという顔をされた。

おおよそ既存の理解の限りだったが、学校教員の研究、とくに教員の労働や健康問題を看板に掲げているにもかかわらず、私には今なお、なぜかくも長時間の学校滞在と短い休暇にならざるを得ないのか、またたとえばドイツではなぜよりコンパクトに働くことができているのか、という謎に答えられないでいる。
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by walk41 | 2017-06-15 12:45 | ドイツのこと | Comments(1)

学校制度とキャリア形成

南ドイツの初等学校4年生たちに尋ねる。「この学校を終えてから、君はどの学校段階まで進むつもりなの?」と。この州では4年生で初等教育は終わり、引き続き5+1年制の職業実科学校、6年制の実科学校、8年生のギムナジウムのいずれかに進むことになるので、彼ら/彼女らの進路に関する意識を少し知りたかったのだ。

女の子A:「職業実科学校、でも実科学校修了資格を取る」
女の子B:「職業実科学校、そこで実科学校修了資格を取る」
男の子A:「実科学校に行って、ギムナジウム上級段階、アビトゥアを取る」
男の子B:「実科学校」
男の子C:「実科学校、ギムナジウム上級段階でアビトゥアを取る」

と、いずれもたずねた瞬時に答えが返ってきた。文字通りの小学校4年生、9歳か10歳である。

日本の同じ学年の児童にたずねたら、何と返事があるだろうか。
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by walk41 | 2017-03-05 23:00 | ドイツのこと | Comments(0)

echt schlechte DB!

ドイツの友人や知り合いと、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn)のありさまを批判、愚痴って、反論されることはありません。異口同音に「ドイツ鉄道はアテにならない」「それは酷い」と返ってきます。「ドイツ鉄道とドイツの自動車協会は密約を結んでいて、酷い鉄道を維持することと自動車業界を興隆させることが合意されているのではないか」と、冗談とも本気ともわからないお喋りも聞こえます。とにかく、鉄道サービスの体を為していません。

今回の滞在でも、こんなことがありました。
○電車が遅れることが日常茶飯事な中、珍しく時刻表より5分ほど早く駅に到着した。当然、駅で予定時間まで待っていると思いきや、4分ほど早く発車したのだ。発車を知らせるアナウンスもなされず、突然扉が閉まるから、危ないこともこの上ない。そもそも、乗るつもりの客を無視している。電車は趣味で走らせているのではないぞ。

○電車内で忘れ物をしたのでサービスコーナーに伝えに行ったら、17時までの営業時間を5分ほど残しているのに、女性職員は帰り支度を始めており、「今日はもう終わりだから、明日に電話をしてくれ」と言い出す。それは困ると粘ったら、「今から自分は寛ぐ時間なのに("Jetzt ist Feierabend")」と文句を言いつつ、しぶしぶ電車の行き先の駅に電話をしてくれた。

○切符の販売機は、クレジットカードを受付けるが、そのカードを読み取るときとそうでない時があり、複数のクレジットカードを試しても購入できないことがある。発車時間が迫っていると焦ることこの上ない。

これらの背景や理由と思われるのは、乗客に対するミッションのいかんのように思います。乗客を安全、快適、予定通りに目的地に届けるという使命感がまず伺われず、「こんなんでよかったら、乗ってもらったら」の水準を超えないのです。切符の検札の人の中には愛想のいい人もいますが、乗客に対する丁寧さ、物腰の低さはまあ感じられません。以前の経験では、「みどりの窓口」にあたるところでクレジットカードで切符を求めたら、カードを投げて返されたことがありました。切符もそうされることが珍しくありませんが、カードや切符をお客の方に向けて、両手で返すというどこかの世界とは文字通り雲泥の違いです。

こんな愚痴を、DBの広報に送ろうとも思いつつ、そんなことをしても仕方ないかなとも感じてしまう、まあやっかいなことです。Warum ist die Deutsche Bahn so schlecht, wie nie vergleichbar mit andere? どうしてこんな無様なのでしょうか。
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by walk41 | 2017-02-26 23:37 | ドイツのこと | Comments(0)

美味しいBretzel

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ドイツに行くことの楽しみの一つは、美味しいBretzelを食べることです。ドイツ南部に限るのかしら、大変に好まれる、また日常的に食されるパンです。

この日も、訪れた学校で用意くださいました。バターが挟んであるButterbretzelです。塩が少し効いたバターと表面がカリカリ、しかし中はしっとりのこのパンをもらうと、ドイツに来たなあと感じさせられます。

日本でもこんな美味しいものを焼いてくれるところはないのでしょうか。

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by walk41 | 2017-02-26 07:35 | ドイツのこと | Comments(0)

洒落っ気

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「校長が執務中」と銘打ったポスター、南ドイツの初等・中等学校の校長室の扉に貼ってあります。

洒落っ気があると思いませんか。どうせなら、楽しく仕事をしたいものです。



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by walk41 | 2017-02-24 02:05 | ドイツのこと | Comments(0)



教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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