学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

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高校生のつくった缶詰

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隠岐水産高校の生徒がつくったサバ缶です。隠岐の島の「道の駅」のようなところで買いました。

学校HPを見ると、「水産魂(熱・意気・団結)」のもと、全国から生徒を受け入れているとのこと、海洋システム科、海洋生産科のほか、漁業科、機関科の専攻科も擁し、生徒は170人少し。女の子が3分の1ほどを占めています。

海の国、日本においてぴったりの高校かもしれませんね。貴重な缶詰、しばらくは開けずにおいておきます(^^)/
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by walk41 | 2012-04-30 18:35 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

平等と公正

AIJ投資顧問による巨額の年金損失、運用を委託していた中小企業に致命的な打撃を与えている。

NHKスペシャルによると、運用実績が伸び悩む中、解散を考えた年金基金もあったというが、厚生労働省年金局からは「基準に該当しないので認められない」と言われ、やむなく運用を続けた結果、今回の事態に至ったケースもあったらしい。

扱う範囲が広くなると、公平は画一的になる。かといってケースごとに柔軟に対応すれば不公平になる。学校教育の領域でも、「基礎・基本の徹底」は一斉教授になりやすく、「個に応じた指導」は「質の保証」に抑制的にはたらく。

英語で語源辞典を引いても、equality と equity は近いようだし、 正義 justice も同様。fair で just、つまり、ぴったりなのだから。「平等と公平、そして正義は違うんだ」と主張するのは難しそうだ。

一つの定義であまねく説明しようとする、つまり「正統な」解釈にみんなを揃えようとすること、そのものが無理とすれば、残されるのは、複数の解釈があることを前提に話し合うという態度と能力を持つあたりだろうか。

言葉にしないとわからないことは多い、だけど、言葉にすると解釈の余地を著しく狭めてしまう。ジレンマである。
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by walk41 | 2012-04-29 22:14 | Comments(0)

「主要5教科」ではない教育実践論

「言葉にすればウソになる」、しかも「わかる」という暗黙知(tacit knowledge)。

これは、身体感覚と強くつながっているようだ。たとえば、自転車に乗ることをどのように教えられるか、またいかに学ぶのか。両手でハンドルを持つ、片足をペダルにかけて少し加速する、ある程度スピードが出たら、サドルにまたがる、またがったら少し遠くを見ながらバランスをとる…といったことを言語化して話しても、うまく乗れるようになるだろうか。ちょっと難しいように思う。

この点で、国語、算数、理科、社会、外国語という5教科は、文字と記号の組み合わせて事実を説明し、理解させようとする点で共通するだろう。その一つの究極の形は、暗記(丸覚え)である。そのまま文字や記号を獲得すれば理解しているということになるのだから。

「いい国つくろう鎌倉幕府、1192年」と答えられれば、評価されるという論理は、同じ文言をくり返すことができれば、わかっていると見なすものである。これは、「問答形式」で書かれたカテキズム(キリスト教などで用いられる教理を教育するためのテキスト)の発想にもつながると思うが、正解は予めあって、それを「無知」な人に知らしめるというモデルを採用しているのだ。

これに対して、音楽・美術(図画工作)・体育、あるいは技術や家庭科、身体との関わりが多い教科では、「なんとなく」わかる、できる、さらには感じることが多い。これは、生まれつきや幼少期の経験など、学校教育とは別に、聴覚、触覚、審美眼、運動能力が形成されるようにも思われるので、教育評価の際には、教員を悩ませる。教員の資質・力量や子どもの努力の結果として、彼らの出来映えを捉えることに躊躇するからだ。また、その出来映えそのものの評価(良し悪し)も、きっと悩ましいことだろう。

ここで、人間にとって言語化できないが(できないからこそ)「わかる」や「できる」ことが決して少なくないとすれば、聴くべきはいわゆる実技系の教科の先生たちの授業観である。彼らに「教える」とはどういうことか、児童・生徒はいかに「学び」を経るのか、そこでの理解や習得の内容はいかなるものか。

学力テストは、もっぱら国語や算数に傾斜し、受験でも「正解」にいかに近づいているかで評価する形式が支配的だけれど、こうした記号操作をもっぱらする教科とは違う観点からの、教育実践論を是非うかがいたい。ある意味で「人間らしい」能力の生成や獲得について。
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by walk41 | 2012-04-28 20:31 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

茶の文化

「ペットボトルで壊れる茶の文化」と全国紙に投書。

テレビ画面に映し出される会議風景にすっかり馴染んだペットボトルだが、「どう見ても無粋で、行儀が悪く、雰囲気を壊しているように感じる」とのことで、「こうした空間からは、落ち着きのない心が生まれるのではないだろうか」と主張される。

う~ん、「どう見ても」と言われても、あなたの見える範囲は限られているのよ、としか言いようがないかな。

「お茶くみ」にやってもらうと、熱すぎ、ぬるすぎ、濃すぎ、薄すぎ、と当たり外れがある。また、あの小さな湯飲みでは足りないし、かといってお替わりも頼みにくい。たまに、洗い足りなかったのか、前の人の飲んだあとが残っていて気持ち悪い。あと、たくさん人がいたら、いっぺんに注げないし、同時に配れないし、片付けるときに落として割れたら掃除が大変だし、水もたくさん使ってもったいないし、とも言える。

だいたい、仕事中は心落ち着かなくていいの。張り切ってやってるんだから。

ゆっくり、しっかりと飲みたいお茶は、家でやろうね。
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by walk41 | 2012-04-28 09:28 | ことばのこと | Comments(0)

想定

予想のこと、仮説とも言える。

事実は小説より奇なりとも言うように、想定できることはまったく限られている。約束していた時間に人が現れないとき、ああかな、こうかなと予想するが、当たっていた試しは私の限り、まずない。

なのに、「~すれば、~になるだろう」ということを確かめるために、血道を挙げることは効果的な仕事の仕方だろうか。不思議だ。

むしろ、おそらくはそうならないだろうと考えて、実際にやってみて、どうだったのかを確かめることが効果的、生産的と考えるが、どうだろうか。

折しも、北朝鮮のミサイル発射について、首相官邸と防衛省は「発射失敗を想定せず」だったと、検証チームの報告書が出た(2012.4.27、毎日新聞)。あれだけの頭数あわせて対応策を練ったのに、このお粗末さ。

一人の教員、一つの学校が想定できる、立てられる仮説など、「たかがしれている」と割り切った方が、楽しく授業研究ができると思うな。
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by walk41 | 2012-04-28 08:21 | ことばのこと | Comments(0)

コミットメント

はやり言葉はカタカタということか、commitment

責任、約束、目標、あるいは関わりなどと解されている。訳せないからコミットメントとしか言いようがないのだという人までいる。

ある本におもしろい訳が当てられていた、「執着」だ。なるほど、あまりコミットしすぎると失敗するということなのね。宗教めくなら、煩悩ということかもしれんなあ。

日産のゴーンさんも、かつて掲げていた「必達目標(コミットメント)経営」を止めたそうだから(「日産、必達目標経営を修正」2008年4月2日、日経)、目標はまあ目安くらいに見た方がうまく行くのかもしれない。

ひるがえって学校では、学力テストの順位アップ、学校評価点の改善、不登校児童生徒数や「いじめ」数、さらには給食の残飯量まで減らすべく、目標に執着している。数値目標や、「測る化」「見える化」ってね。

より豊かな人間理解が求められる学校なのに、今やはたして世間の何周遅れを走っているのだろうか。
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by walk41 | 2012-04-27 20:21 | ことばのこと | Comments(0)

「辞められない」社員

NHKクローズアップ現代は、「やめさせてくれない 急増、退職トラブル」。

長時間労働などから社員が辞めたいと行っても認めず、失業手当を受けるために必要な離職票も出してくれない会社。ひどい例では、無理矢理に辞めていった社員に対して、営業成績が振るわず、会社に損害を与えたという理由で、会社が訴えを起こしたものまであるという。幸いにも、裁判所に却下されたが。

もともとは、再編といった意味の「リストラ」が、もっぱら「辞めさせる」を指すとき、社員はどのように「辞めません」と言い続けるかが問題になる。「窓際」にやられても、草むしりをさせられても、いかに辞めないかが、労働者を守るべく議論されたこともあるのに(もちろん、今でもあることだろう)。

今度はそれと正反対、いかに辞めるかが問題とされるようになるなんて。当事者には、それどころではないから(どっちでもいいことだから)失礼な話だが、傍目には、かくも会社と社員の関係が大きく変わるということを示す好例だと思う。

たとえば、学校と教職員、とくに教員との関係は、これからどうなるのだろう。悪労働条件に耐えられなくなった教員が学校を辞めようとするのを、ほかに引き受け手がないからと教育委員会が執拗に引き留めるなどということが起こるのだろうか。

こんな、とりあえず今のところは夢想をしてみると、教職の「高度化」や「スタンダード」の議論が、けっこう脆い基盤の上にあることに気づける。教員給与が下がり、労働条件が悪化し、社会的逸脱が増加し、職業威信が落ちる中、どれほどの優秀な人材が教職に就こうとするだろうか。

「かっこいい教職」「すごいと思ってもらえる教職」を目指そう、そのためにはどんな働き方をしたら良いかを考えよう、と私が言うのはこうした所以である。
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by walk41 | 2012-04-27 19:03 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

問題にならない

この言葉、「箸にも棒にもかからない」という否定的な意味と、「支障はない」という消極的かもしれないけれど、肯定的な意味の両方を持っていると思いませんか。

「彼の起用は問題にならない」-その意味を、話す人の口ぶりや表情から私たちは判断しているのでしょうね。

だから、授業研究で記録した教員と子どもの文言分析(プロトコル分析)って、文字通り、文字だけなので、やっても仕方がないと考えるのです。
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by walk41 | 2012-04-27 13:36 | ことばのこと | Comments(0)

守秘義務違反なのだろうけれど

亀岡で起こった自動車暴走事故。被害者の連絡先などが、被害児童の通う小学校教頭から漏らされていたことが問題になっている。

かつて担任した児童の保護者が、加害少年の父親の親戚にあたるとのことで、「『父親が、誠意を示すため松村さんの葬儀への参列を希望し、日程や場所を知りたがっている』と聞き、日程と携帯電話番号を伝えた」(毎日新聞)、のだという。

ううん。わからんでもないなあ。だって、教員って優しい人が多いもん。もし、この報道の通りやったら、まだ頼まれてもいいひんのに、「教えてあげよ」って考えてしまいがちなんやなあ。「おせっかい焼き」やから。

もうひとつ、加害少年の親戚の男性の言。「何もしなければ、どういうつもりだ、と思われるだろうと、いても立ってもいられなかった」、これもよくわかる。ただし、被害者側がそれを了とすればの話だけれど、あくまでも。

無理矢理に学校の話に持って行けば、おせっかいはどんなときに、どこまで焼けばよいのか、また、受け止める相手次第という難しいことをいかに扱うか。

今回のことに限らず、学校は日常的にこうした事柄に溢れている。慌ただしい中、的確な判断ができるとも限らない。だから、「ミスを根絶」ではなく、「ミスは起こりうる。だから、次善の策の用意を」とフェールセーフの考え方を強めることが大切なように思う。
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by walk41 | 2012-04-27 09:44 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

学生をどう見るか

春はじめの授業はなかなか慌ただしい。新入生が慣れない様子でキャンパスの教室を動くためもあるだろうが、いずれの回生(関西では、学年よりも回生という方が多いかな)も、年度が改まったゆえの仕切り直しというか、ちょっとした高揚感を感じるのだ。

そういう彼らも、4月の下旬に入るとそろそろ疲れがたまるのか、体調を崩す学生が出てくる。授業中に「トイレに行っていいですか」とたずねる学生、教科書が売り切れたために課題ができなかったと半泣き顔の学生、思わず睡魔に襲われる学生などさまざまだが、「みんな、よう頑張ってんなあ」と感心すること、しきりである。

以前だったら、トイレくらい休み時間に行っとかんかい、しっかり起きやと、口にはしなくても、目でガンを飛ばしていたように思うが、今は、トイレなんていちいち授業者に言わんでも黙って行ったらええのに、とか、まあ座りっぱなしやったら眠たくなることもあるわな、と早くも好好爺ではないけれど、たとえば20年前の自分と比べれば、明らかな眼差しの違いがあると感じる。

教育-学習の関係は、相手の意欲や関心をいかに高めるかがその正否、という言い方に倣えば、「被教育者」である彼らが、自分たちはいかに見られているかに敏感であることを踏まえて、教育者側である自分がどう彼らを見つめるかだろう。…こういうことに気づくのに、20年もかかったということだ。

もっとも、これは以前から思っていたことだが、自分が大学生のころ、教授陣の授業はおしなべて悲惨、学生も全くあんぽんたんだった。これに対して、今の学部生、大学院生は何と賢明で優秀なのかと思わされる。「俺たちの頃にくらべて、おまえ達は…」なんて、とても言えない。これは本音である。学生には大いに自信をもって学んでほしいと思う。
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by walk41 | 2012-04-26 23:32 | 授業のこと | Comments(0)



教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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