学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

<   2016年 11月 ( 19 )   > この月の画像一覧

低く見積もってはいけない

日めくりカレンダー、今日の言葉(ドイツ語版)

私たちは、あまりにも次のようなことの力を低く見積もりがちだ。

それは、花が咲くこと、笑顔、親切な言葉、耳を傾けること、正直な褒め言葉あるいは肯定的な小さな振る舞いである。

これらはすべて、生活を変化させる潜在力をもつのだ。
[PR]
by walk41 | 2016-11-30 07:26 | 笑いのこと | Comments(0)

懐かしい再会

7つの大学の学生と教員が集って、卒論・修論の他流試合を行うインカレゼミに参加、その近隣に住む、以前の勤務校の卒業生が訪ねて来てくれた。嬉しかった。

卒業して早や10年、30代に入った彼は研究サークルに参加したり、大学との接点も持っていると聴く。徐々に指導的な役割果たしていくことだろう。

そんな元ゼミ生の思い出話。年明けに卒論を持っていった際に、「これだったら、初めから書き直した方が早いね」と私が言ったらしい。その後、彼は指の皮がぜんぶ剥けるほどに論文に臨むことになったと。ずいぶんと厳しく言ったんだろうなあ。

教える側とそれを受ける側の違いは不可避だとわかっているつもりだけれど、言った本人はさっぱり覚えていないことが、相手にとってはかくも長く記憶に留められているということが、実感をもってわかる。教えるという立場が決して忘れてはいけない、恐ろしいことであり、それゆえの責任を問われることである。



[PR]
by walk41 | 2016-11-27 09:18 | Comments(0)

答えの出ない問題

教育評価に関わる講演を聴いた。学ぶところ大だった。

21世紀型学力というものが、問いを立てる、メタ認知、互助的な学習などを通じて形成されるならば、その評価はいかにあり得るかについて、考えさせられた。

ルーブリックやパフォーマンスといった評価の具体はさておき、そこで心しなければならないのは、答えの出ない問題を扱うということは、従前のような教える側、教員が全てを掌握できる訳ではないという、割り切りを必要とする、ということだろう。

新たなアイディアを求めることは、既存の知識をベースにするから、その点は妥当性を評価できるだろう。これに加わる知識の新しい組み合わせや、バージョンアップした発想を問うのが、これからの学力なのだから、その適切性は「先に生まれた先生」にはきっと難しい。

だから、後者については教育者も評価はできないと考えること、その上で奇抜さや面白さ(独創性)を楽しめる態度が求められるだろう。これからの学力を考える上で、楽しさ、笑い、ユーモアが教員に問われる所以である。

[PR]
by walk41 | 2016-11-26 06:34 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

◯◯周年記念

色々なところで◯◯周年記念という催しが行われる。起業して一世紀以上を数える、いわゆる長寿企業が世界的に突出して多いと言われる日本では、なおさらだろう。

しかるべき期間、継続してその組織が存続したという事実は、そこに関わった人々の思いのほか、理念と情熱さらには運が幸いしたことの証であり、祝うべき事柄だと思う。と同時に、その組織に関わる人々の入れ替わりの頻度によって、周年記念の意味は少なからず変わってくるだろうな、とも思わされる。

たとえば、起業して一代で成功を成し遂げて、当人やその関係者が数十年を迎えたことの意味はとても大きい。これに対して、名称は同じでも、人が頻繁に入れ替わる場合、さらには、活動の様子が少なからず変わっている場合は、たとえ何周年とは言っても、組織や団体の凝集性、恒久性は強くないから、一つの節目としての意味はあるけれど、年数の長さを過度に強調されても、その場にいる立場としては、ちょっと身の置き方が難しいなあと感じることだろう。

たとえば、学会創設◯◯年と謳っても、人文社会系の学会ならば、研究関心も方法も共通することは、「変わってきた」ということであり、内容の継続性は乏しい。学校での研究◯年も同様だ。続けていることに違いはないけれど、中身は変わっていることだろう。学習指導要領が改定され、学校に対する人々の眼差しも代わる中、「積み上げ」と強調しても大した意味はない。へえ、こんなに変わってきたんだなあと知る機会として、周年を迎える、その長さを確かめるのがいいかと思う。






[PR]
by walk41 | 2016-11-23 20:24 | ことばのこと | Comments(0)

交渉の能力

ある東南アジアの国を訪れて知ったことの一つは、そこではタクシーに複数に種類があり、いわゆるホテルタクシー(ホテルで待機、あるいはホテルが呼ぶような)には、メーターが設置されて、明朗会計だけれど、それ以外の流しのタクシーや駅で待っているような場合は、メーターがない、あるいはメーターがあっても使わない、客とドライバーの交渉で決まるのが普通だということです。

私は、できれば後者の類には乗りたくないのだけれど、そうしなければならない場合もあります。後部のドアを自分で開けて、いくらで行くかをドライバーに尋ねます。納得すれば乗ればいいのです。とはいえ、乗れないと困るので、まあ従うことになるのだけれど。

そこで、問い方を変えて、つまり、いくらで行くかと尋ねないで、いくらでいってくれとこちらの希望の金額を先に伝えます。それに対してドライバーは、少し高めの額を返して、その辺りで折り合いをつけるという方が、客にはより納得できる金額に収まるように思えます。

とまれ、黙っていても決まったルールに従っていれば、コミュニケーションを要しませんが、自分で決めなければならない場合、否応なしに交渉の能力が問われます。これまた、ユニバーサルデザインとは正反対の話なのだけれど、逞しくはなるなあ、と感じさせられたことです。

[PR]
by walk41 | 2016-11-23 03:34 | コミュニケーション | Comments(0)

ルールは自分で作る

東南アジアを訪れていました。最低・最高気温の変化はほとんどなく、ほぼ赤道直下のため、日の出日の入りの時間も年中同じくらいというところです。

前回は感じなかったのですが、道路を横断しようとして歩行者用信号が青になるのを待つと不思議なことが起こります。いつまで待ってもその信号が青にならないのです。しかも、ようやく変わったと思いきや、青なのはあっという間だけで、途中から駆け足をしなければ渡りきれません。これでは足の不自由な人やいわゆるお年寄りに意味のない青信号でしょう。

そこで周りを見ると、歩行者用信号は赤なのだけれど、クルマやバイク用の信号が直進は赤、右折のみ青といった時に、つまり、歩行者から見て、部分的に横断できる時に、渡れるだけ渡ってしまうのです。小さな子を連れた両親と思しき3人を見ましたが、歩行者用は明らかに赤なのに(というか、ほとんどの時間は赤なので)、車両が止まっている瞬間を狙って、早足で少しずつ渡っていきました。5歳くらいの男の子は、"Let's go, let's go" とはしゃぎながらです。

歩行者にはまったく理不尽な信号と私には思われたけれど、この中にあって、どうすれば渡ることができるか、それぞれが自分なりにルールを作らざるを得ない、そんなたくましさを身につけざるを得ないと、実感できました。

この点、生きる力、問題解決学習、あるいはアクティブラーニングといった言葉が飛び交う日本は、自分で考える必要がないほどに、ルールが社会的に網羅されており、結果、個人の裁量や余地が減っているのだと解釈できるでしょう。

事故というリスクを減らそうとすると、自分で認識、判断するというリターンを得ることが難しくなる、という問いにいかに向き合うか、難しいことですね。

[PR]
by walk41 | 2016-11-23 03:20 | Comments(0)

教員の休憩時間

教員の長時間勤務が問題になって久しいけれど、休憩時間が事実上ないということも、疲労からの回復という点では問題だろう。

授業と授業の間はせいぜい10分だから休むのは難しいけれど、昼休み時間までも生徒に応対している様子を見ると、自らハードワークにしているなあと思わなくもない。

給食まで児童と一緒に過ごす小学校では無理なことかもしれないけれど、中学校のイメージで言えば(かつ、それなりに落ち着いていればーこれまた難しいのだけれど)、職員室に来られない、そして職員室への連絡ができない時間を設定することはできるように思う。

生徒が職員室にやってくる。○○先生はいらっしゃいますか、これを机の上において下さい、忘れ物を取りに来ました、と。電話もいつでも掛かってくる。呼ばれた教員の姿が見えなければ、内線で探すことも当たり前だ。切れることのない広義の勤務状態が続く。

こうした勤務形態は、教職員の児童・生徒への溢れるばかりのホスピタリティに由来する。割り切れない、できるだけ対応してあげたいという、もてなし、お世話、ときにお節介でいっぱいだ。こんな風に働きたい人が学校にいると言ってもいいかもしれない。

かくして、休憩時間のない、かつ長時間の勤務が常態化する。「教員にも休憩時間が必要」と職員室の扉に貼ってある、ドイツの学校のようにはならないのだろうなあ。



[PR]
by walk41 | 2016-11-17 12:46 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

人を大切にしない

天皇の生前退位に関するヒアリング。保守の論客から、認めないと声が上がっていると報じられている。

不勉強のため、天皇も天皇制についても知らないが、本人が辞めたいと言っているのに、これを認めないというのは、上品な振る舞いとは言い難い。

いま天皇をしている人の気持ちを慮らない、その人のことよりも、既存の制度や信念を重んじるという不幸。気の毒なことだ。

「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」(憲法、18条)この条項が、天皇には適用されない。国民ではないからね。

人を大切にしない制度を温存したがるって一体‥。嫌だと言っている人の犠牲の上に成り立つ制度って…。

なぜ天皇制が必要なの? なくなると誰がどう困るの?
[PR]
by walk41 | 2016-11-15 10:57 | Comments(0)

目標が大切なのではない

府県を跨ぐ教員のみなさんの報告会に参加する、とても勉強になった。

いわゆる困難校での取り組みを聴く。当時の学校の様子に絶句する。およそ学校とは思われない有様に、やがてではあるけれど、「どうしたら改善できるか」を教職員に問い、小さなグループで模造紙を前に議論を交わす中で、できそうなアイディアを出し合い、これならできそうだと決まれば、必ずやるということを重ねたという。

自分たちで何を問うべきかを整理し、それに適うアイディアを出すこと、そして実際に試みることを通して、少しずつ変化を実感していくことーこれらが当事者性を高め、自分たちの学校という自負と自信を高めていくのでは、と思われたのだ。

この発想は生徒が動いてくれる学校づくりにも活かされていると感じた。校長の話も含まれるが、進行は生徒によってなされ、折々の問題提起も生徒主導で行われるのだそう。以前ならば、8:25までに登校なのに8:50頃に何十人と生徒が歩いていたが、今は生徒が遅れ気味の生徒を校門へと誘うのだとか。8:20を過ぎて歩いている生徒はほぼいないとのこと。こうなるまで何年もかかったことだろうが、凄い変化だなあ。

妙案といっていいのだろうか。(できるかどうかわからない)目標が下されるのでは当事者性は生まれない。できそうな目標を考えることを通じて、主体性を得ていくこと、一緒に考え意見を交わす間柄としてメンバーシップを作っていくこと、そんなことが困難な状況にあって、関係者がやりがいや確からしさを持ちうるのでは、と思ったことだった。

[PR]
by walk41 | 2016-11-12 18:04 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

学校秘書(school secretary)は考えられないかしら

学校事務職員の皆さんとの研修会、楽しく過ごさせてもらう。

話の中で、こんなボールを投げた。「今の教頭さんが主にやっているような仕事を、配置数増と合わせて、学校事務職が学校秘書として担う方向は描けないでしょうか」と。

たとえば、出勤時間をいまより30分程度早くする(もちろん、終業時間もそれだけ早くなる)。児童・生徒の欠席ほか、保護者との連絡を授業開始前に受け、学級担任などに知らせる。教育行政機関や他校からの連絡は校長や副校長に知らせ、必要に応じて返事もする。学校施設・設備の維持管理を担うハウスマイスター(この職も必須だ)と連携して、工事や補修の段取りを調整する。

また学校秘書は、学校のデータベースとして、学校予算ほか量的データを保持しており、必要に応じて適切なデータを提供し、校長ほかの教職員の判断に供する。児童・生徒の教育に直接関わることについては教員に任せるが、それ以外のことについては、裏方としての事務(総務、会計)、役務(ハウスマイスター)、保健(養護教諭)、給食(調理員、管理栄養士)といて分担し、「チーム学校」(チーム教育ではなく)を担うというイメージだ。

かつて隆盛を誇ったタイピストは、今や職を失った。では、会計処理はどうなるだろうか。人間だからこそいっそうできる、新しい仕事への転換を図っていくことの意義を、AIの急速な台頭を目の当たりにして、いっそう感じる。



[PR]
by walk41 | 2016-11-11 18:44 | Comments(3)



教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
メモ帳
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
nation
at 2017-10-17 12:45
好みの幅広さ
at 2017-10-15 12:43
スクールソーシャルワーカー
at 2017-10-14 10:59
「奏を功する」
at 2017-10-12 20:20
付いた力は自分ではわからない
at 2017-10-11 23:31
まずは良かった
at 2017-10-09 19:14
Fiasko/fiasco
at 2017-10-08 10:40
青か緑か
at 2017-10-06 09:39
丁寧な言葉遣い
at 2017-10-05 10:26
目標を実現することが即、教育..
at 2017-10-02 22:05
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧