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学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

コロナウイルス禍の学校の現在 Schule in der Coronapamdemie

コロナウイルス禍の学校の現在 Schule in der Coronapamdemie_b0250023_11192465.png

2020.10.22, バーデン=ヴュルテンベルク州ニュースより。

コロナウイルス感染が再び増加、第3段階に達した現在、同州では学校での感染対策として次のような状況にある。

①5年生以上、つまり中等教育段階の生徒は、授業中のマスク着用が義務付けられる。

②ただし、常にマスクをつける負担が大きいとの声が保護者や教員から多数上がっていることを踏まえて、休み時間など校舎の外では、1メートル半以上離れていることを条件に、マスクをせずともよい。

③コロナウイルス禍の生徒の負担の大きさを鑑み、中間試験および修了試験については、マスク着用義務の対象としない。

④スポーツ団体や音楽学校の活動など、学校教育以外の目的での学校施設利用については、学校の生徒との混在が生じないこと、感染対策を行っていることを条件に認める。

まさに世界規模での事象、彼の地でも学校関係者、保護者、生徒たちの負担と不安はさぞかし大きなことだろう。

「みんなで困難を担おう」がスローガンになっていると、ドイツの友人から聞いているが、日本でも真剣にかつ楽観的に、この時期を乗り切れればと思う。



# by walk41 | 2020-10-23 11:54 | ドイツのこと | Comments(0)

首尾一貫しない人 uneinheitlicher Mensch

現首相が書いた新書『政治家の覚悟』が発売された。2012年に出版された同名の本の改訂版である。

前の本に記されていた民主党政権への批判、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為」の箇所は削除されているという(朝日新聞、2020.10.20)。

買ってまで読む気はないので、この記事を信頼するならば、大した御仁だと改めて思わされる。自分が言ったことが、「桜をみる会」や「加計学園」の問題でそのままに返ってきた、つまり、記録のもみ消しに、あろうことか官房長官だった自分が躍起になり、「記録は破棄した」とまさに天に唾することになったにもかかわらず、恥じて唾を受けるのではなく、知らぬ存ぜぬを決め込もうというのだから。

その問題は、自身が「国民への背信行為」を既に行ってきたこと、そして今回、日本学術会議会員の任命拒否に関する記録を出さないことも加えて、背信行為の上塗りを重ねている、しかも、それを「法に従い粛々と」と言い換える、まさに「黒を白と/白を黒と言い換える」一連の行状が、民主主義と法治国家に相反していることだ。

これが確信犯ならば罪深く、もし「天然」ゆえならば要職に就く者としての資質に欠ける。いずれにせよ、あってはいけないことである。

# by walk41 | 2020-10-20 08:38 | ことばのこと | Comments(0)

挙手、再々論 immer wieder "Hand hoch zu heben"

後期の授業が始まり、学生とも接する機会が増えた。コロナウイルス感染対策をしながら、対面授業をするのはけっこう大変だが(とくに、マスクをしての講義を終えると、やつれる感が少し伴う)、楽しい。コロナ禍で対面授業を始めた6月には感染が危惧されたが、結果的には大学にふさわしい英断だったと思う。とくに1回生にとって「大学生になる時間」を提供できただろう。

さて、例によって、学校教育関係法規に縛られない「教育上の自由」の範疇としての教員の振る舞いについて話をしていたら、こんな経験談を伝えてくれた学生がいた。

小学校の4年生くらいのこと、明日は保護者参観という日に、音楽の授業を担当する教員が児童にこう言ったという。「手を挙げている元気な様子がいいから、みんなで手を挙げましょう。わかる人は右手を挙げて、わからない人は左手を挙げて」と。

翌日、子どもたちの手が左右に上がったとのことだが、この学生はその不思議さに改めて気づいたようだった。さらに気づいてほしい。「あの授業参観って、子どものためではなく、教員のためにあったんだ」と。

かくも見せ物(やらせ)のためにも挙手は用いられる。こうした「小道具」を放置したたまに、「子どもの学び」や「対話的な学習」が声高に叫ばれているとすれば、なんと悲劇的なことだろうか。「何となく」滑り込んでいる教員の信念や信条に翻弄される児童や生徒には、まったく気の毒な話である。

# by walk41 | 2020-10-17 08:22 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

前例踏襲 wie bisherig

毎日新聞記事、「ルーツは大久保利通、歴史を踏まえて考える中曽根元首相合同葬の問題点」(2020.10.16)を読んだ。国葬の研究者、宮間純一氏の「政府は『前例を踏襲しただけ』という主張かもしれませんが、今の時代にそぐわないし、それで済む問題ではありません」という発言が興味深かった。

現政府は、法律にしたがい粛々と行うべき覊束行為にもかかわらず、学術会議会員の任命を適切に行わなかったことを「前例踏襲しない」と述べる一方、国葬を行うことをこれまでもやってきたから「前例踏襲して」と言うのだろうか。もしそうだとすれば矛盾する。ご都合主義である。

そもそも、前首相の路線を「継承」すると現れたのが今の総理大臣なのだから、自身が「前例踏襲」の塊である。こんな御仁に「前例踏襲」から外れることを、期待できるはずがない。

戦犯から連合軍によって釈放、首相へと辿った祖父を持つ自身が「戦後レジーム」ゆえに登場したのに、その打破を目指すと唱道していた前首相の矛盾ぶりも相当だったが、こうした理解ができないほどの「学力」問題が、今の首相にもあるのか。学力/学歴コンプレックスゆえに学術会議を軽視することで、自身の溜飲を下げているのかとも勘ぐりたくなる。

こんな話を家人としていたら、「今の人は、病気で休んだ先生の代理みたいなもんでしょう」と返ってきた。身内ながら、見事な看破。



# by walk41 | 2020-10-17 08:09 | ことばのこと | Comments(0)

どうする学校でのコロナウイルス対策 Wie soll es sein, die Maßnahmen gegen Coronavirus?

どうする学校でのコロナウイルス対策 Wie soll es sein, die Maßnahmen gegen Coronavirus?_b0250023_15574787.png


2020.10.11付、Spiegel online 記事。ロベルト-コッホ研究所が、コロナウイルス対策としては不十分と評価する、いわゆるフェイスシールドをハンブルク州は30000個購入、学校での教員と生徒に無償で配布したことを報じている。

米国での研究でもフェイスシールドの有効性は疑問視されており、最初こそ、フェイスシールドは呼気を抑えるものの、その後、拡散されることがわかっているとのこと。医療用マスクあるいは従来の口と鼻を覆うマスクが、飛沫をより抑えることは明らかだという。

有効かどうかわからないものに公費を投入したことへの批判記事だが、官僚組織ゆえに一律的な対応となってしまう弱点が現れているとも見える。「アベノマスク」が散々な結果に終わったように、こうした現物支給は、役所仕事にとって苦手な分野なのかもしれない。

かたや、バーデン=ヴュルテンベルク州の州都、Stuttgartでは、1週間の新規感染者数が人口10万人あたり50人を超え、コロナウイルス対策が強化されつつある(現在の日本の同値は3人程度。一桁少ない)。

「コロナ感染が終息」とは、まだまだ言えず。ドイツに行って学校を訪問するなど、まったく目処の立たない状況だ。






# by walk41 | 2020-10-12 16:12 | ドイツのこと | Comments(0)



榊原禎宏のブログ(Yoshihiro Sakakibara Blog) 教育学の一分野、学校とその経営について考えます(um die Schule und ihre Verwaltung und Management)
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