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学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

旧小学校 ehemalige Grundschule

たまたま通りかかっただけなのですが、南丹市にある旧五ケ荘小学校を訪れました。

この学校については、http://henro.gozaru.jp/20-haikou/02-g/kyoto/08-gokasyou/08-gokasyou.html や http://kindaikenchiku.seesaa.net/article/415872472.html でも紹介されていますが、2007年3月で廃校になりました。旧日吉町の学校でした。

体育館に貼られた閉校時のメッセージボードと校章すら、すでに古ぼけてしまっています。掲げられた校歌の下には、止まったままの掛け時計。これから学校統廃合が進むだろう中、学校という場のあり方がいっそう問われることを実感した次第です。

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# by walk41 | 2020-09-13 15:55 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

「教育実習テロ」への危機管理 Risko-Management gegen "Corona-Schulpraktikum

大阪府岸和田市教育委員会は8日、市立八木南小に教育実習に来ていた大学生が、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性になったとうそをつき、同校と隣の市立八木南幼稚園が休業したと発表した。実習生は市教委の調査に「早く実習を終えたかった」と話した。実習生は8月末から来ていたが、9月上旬に体調を崩し、7日に検査で陽性になったと学校に連絡した。市教委は同日中に児童らを帰宅させ、10日までの休業を決めた。

その後、保健所と対応を協議する中で実習生が検査を受けていないことが発覚。本人に確認するとうそを認めた。市教委は、実習生の法的責任の追及を検討する。(2020.9.8各紙報道より)

「教育実習テロ」への危機管理 Risko-Management gegen \"Corona-Schulpraktikum_b0250023_09440692.png
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驚きました。こんなことを考える教育実習生がいたなんて

①学校経営としての問題:学生から申告のあった時点で、学校管理職はどのようにその事実を確かめたのか。口頭だけで済ませたのか、検査結果も偽造したのか、教育委員会に報告、相談する過程を含め、事実認定がどのようになされたのだろうか。

②大学の態勢の問題: 学生から大学への連絡もあったはず。ならば、「陽性」と聞いて担当教員や所掌事務はどのように対応したのだろうか。また、学校あるいは教育委員会と、どんな話をしたのだろうか。さらに、感染しているかもしれない他の学生への周知や連絡、大学閉鎖等の管理に関して、どう行動したのだろう。

③大学と学校・教育委員会の信頼問題:未来の教員を育てる仕事は、大学だけの責任ではなく、広く社会的なものでもあるから、学校や教育委員会が支援することは必要でもあるが、どこで受けてもらうかを考えれば、好意にもとづくものでもある。今後、学生を送った大学と受け入れを決めた学校、また教育委員会の信頼関係は続くだろうか。この学生の在籍する大学からは、教育実習を受け入れないという雰囲気が醸成されるようなことになれば、後輩の教育実習ができるかどうかはもちろん、大学の存立基盤にも関わってくる。

④当の学生の問題:体調を崩して早く実習を終えたからとのことだが、言わずもがな、およそ許されることではない。偽計業務妨害罪に問われうるし、損害賠償を求められるかもしれない。さらに、教育実習の単位は取れず、大学から懲戒処分として退学となる可能性もある。実習先の学校名も明らかなので、個人が特定されれば、長く将来にも影響しうる。成人となっているのだから自分で責任を負わなければならないが、大きな判断ミスだったと言えるだろう。

いずれにしても、学校経営上の危機管理の対象に、教育実習生までが含まれるようになるとは。

こんなことが起こりうる状況で、学校の業務はより増大。どうすれば「働き方改革」を進めることができるだろうか。


# by walk41 | 2020-09-09 10:09 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)

主語のない文章 Satz ohne Subjekt

「誰が売っているか」は重要ではなく、「どこで売っているか」を知りたいときの一文。

ドイツ語ならば、Wo verkauft die Souvenir? は、主語のない文章、日本語の、お土産はどこで売ってますか? と同じ構造です。不思議なことに、売り手の主語がないのです。ロシア語でも、где продают сувениры? と同じく主語がありません。

これを英語で言おうとすれば、Where sells souvenir? とはきっと言えず、Where does souvenir sell? になって、土産が主語になることでしょう。ちなみに、スペイン語ならば、¿Dónde vende Sovenir? と主語のjo は出てきませんが、あることになっているという具合です。この点では英語に近いです。

グローバル化といえば英語、とは否定できないのでしょうが、それ以外の言語と日本語が近しい場合もあるとは、面白いですね。言語を学ぶに際して、正確さを追求するのも大事とは思いつつ、大らかであってこそ気づくこともある、と知るべきではないでしょうか。

# by walk41 | 2020-09-07 19:41 | ことばのこと | Comments(0)

二分法のわかりやすさ Klarheit der Zweiteilung

https://www.youtube.com/watch?v=ucbdkc3o8z4  より。

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横浜市の国民学校を舞台にした映像資料「戦ふ少国民」、1943-1944年に作成されたものだろうとの説明が最後部にある。

神国日本、神州不滅、八紘一宇、英米撃滅、一億火の玉と、狂信的な国家主義が喧伝される中、校長が児童に問う。「諸君は、戦争に勝った方がいいか、負けた方がいいか。」「勝った方がいいと思う者は手を挙げい。」

そんな子どもがいたかどうかわからないが、「さっさと負けて、防空避難訓練なんかしなくて済む方がいいや」なんて思っていても、とても口に出せる雰囲気ではなかっただろう(袋だたきのいじめに遭うこと必至である)。何しろ、この映像のどこにも、笑顔はもちろん笑いがないのだから。茶化すなど死を意味したことだろう。

この映像から学ぶべきことの一つは、二分法で語ることのわかりやすさと危なさである。この台詞からは「戦争はしない方がいいのではないか」という第三の選択肢が排除されている。思考の幅を最初から狭めておいて、残された二つから一つを選ばせるという狡い論法が用いられている。

この校長が戦後も生きたのならば、どのように過ごしたのか気になる。己の愚かさを恥じただろうか、それとも「時代から与えられた役割を果たしただけ」とアイヒマンと同じように考えただろうか。






# by walk41 | 2020-09-04 13:58 | ことばのこと | Comments(0)

コロナウイルス禍での教員確保 Sicherung der Lehrkräfte unter Pandemie

Baden-Württemberg州政府ニュース、2020.9.2

コロナウイルス感染という事態のもとで州全体では、およそ6%の教員が医師の診断書により、対面授業に就くことができません。このため、文部省は代わりに授業を担う教員を確保するべく1,660万€(およそ20億円)を充当します。


バーデン=ヴュルテンベルク州政府は、新年度2020/2021をコロナウイルス禍のもとで通常に学校を運営する計画をしています。つまり、学校での通常の時間割にしたがってすべての生徒に毎日の授業を実施すること-厳しい衛生面での規則のもとで-です。もっとも、州全体ではおよそ6%の教員が医師の診断書により、対面授業に就くことができません。「新しい学校年度は、引き続く感染状況の点で大きな挑戦を求めています。母性保護や病気によって通常の授業ができず、遠隔授業のみ可能という場合は、対面授業を確実に実施するために、6月からコロナウイルスのために自身は授業ができない教員の代替を可能にしました。これは特別な状況にある学校を再度、いっそう支援するものです。」と文部大臣Dr. Susanne Eisenmannは話します。


すでに夏において、文部省はこうした代替授業のために600万€を拠出することを「県」(Regierungspräsidium)に示していました。今回の拠出と合わせて1660万€が当てられ、「県」は対面授業を確実なものとするための必要な手続きをとることができます。まず550万€が今週に送付され、引き続き1110万€が来年度、学校年度の終わりまでに措置されます。「基礎学校および特別支援教育での入学期あるいは試験学年(最終学年のこと)における教科の実際的な授業を考慮すれば、代理授業を担う教員は今の状況でいっそう重要です」と文部大臣は強調。


同大臣は述べます。対面授業ができない教員の職務がないということでは決してありません。自宅での業務あるいは遠隔での教育サービスを担うこと、この業務のために教員は遠隔での授業を担当して、授業の事前・事後あるいは添削、さらには生徒に提示できるあるいは生徒がアクセス可能になるように教材を編集するといった面で、対面授業を担う教員たちを支援するのです、と。


授業を実施するための代理教員の確保のために、州予算の総額6340万€(約80億円)を充てます。さらに「県」は8月上旬にコロナウイルス禍による授業中止を補うための600万€を受け取りました。そして第一弾として全体で1660万€のうち550万€が拠出され、第二弾として残りの1110万€が年度末までに用意されます。これらにより合わせて、およそ7500万€が代理授業を実現するために充てられることになります。

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いかがだろうか。日本の学校で、コロナウイルスへの感染可能性が高い(基礎疾患がある、高齢者であるといった)あるいは、感染時の危険性が高い(母性保護)ことから、対面授業に投入しない教員がそれなりの数いるために、替わりの教員を措置しなければならないという事態はどれほど見られるのだろうか。そもそも、コロナウイルスに感染するのは嫌だと出勤しない教員はどれほどいるのだろうか。寡聞にして私は知らない。


もし、そんなケースがあまりないのならば、日本の教員たちは何と献身的であり、自己犠牲という無茶なことをしているのだろうか。かくも「教職としての使命感」をかれらに持たせることに成功している社会なのかもしれない。



# by walk41 | 2020-09-03 09:51 | ドイツのこと | Comments(0)



榊原禎宏のブログ(Yoshihiro Sakakibara Blog) 教育学の一分野、学校とその経営について考えます(um die Schule und ihre Verwaltung und Management)
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