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学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

「いじめ」は増えている?

いじめ増加に転換 7万7000件 22年度小中高認知件数 実態把握進む 2012.2.6

小中高校などで平成22年度に、いじめを認知した件数は7万7630件となり、前年度比6・7%増で、現行の調査方法となった18年度以降の減少傾向から初めて増加に転じたことが6日、文部科学省の「問題行動調査」で分かった。 [産経ニュース]

こんなニュースを聞くと、「あ-、いじめ、また増えたんやねえ。困ったねえ」と思う方もおられると思うが、ちょっと待ってほしい。「いじめ」って、どうやって数えるのかしらん。

上のニュースの後半、「各学校での主ないじめの把握方法は児童生徒への個別面談や生活ノートなどだったが、文科省では21年度調査から個別アンケートの徹底を通知。今回の実施率は90・7%に上った。文科省の担当者は、認知件数が増加に転じた理由について『単純増ではなく、個別アンケートが徹底されたため、実態把握が進んだのでは』と」。そうなのよ、とっても限られたやり方でしか、「いじめ」はつかまえられない。

1.学校で調べているだけなので、学校外についてはわからない。

2.アンケートなどで「いじめられている」と言ってくれないと、わからない。

3.「いじめられている」と思ったら「いじめ」になる(文部科学省の定義では)ので、「いじめている」数についてはわからない。

…と、わからないことばかり。結局のところ言えるのは、「いろいろな方法でたずねたら、いじめられていると思う子どもの数が前より多くなった」ということだけ。

これを、「いじめ」は増えているわけではないと主張したい立場から反証しようとすれば、

1.学校の外のことはわからない、たとえば、塾でいじめられていることは、この調査に含まれているのだろうか。また、ある子は学校以外のことだからと伝えず、別の子は伝えるということもあるのではないか。

2.「私は見た」という目撃証言、あるいは、「いじめの痕跡」という物的証拠、あるいは「私はいじめました」という"自供"はないのか。「いじめられた」という被害の訴えだけでは、事案を成さないのでは。礼を逸することを承知でいえば、「狂言」や「思い込み」はまったくないと言えるのか。

3.問題は「いじめられている」(苦痛を受けている人間がいる)点にあるのか、それとも「いじめている」(他者に苦痛を与えている人間がいる)点にあるのかが、わからず(どっちも問題なのか)、どんな問題を解決したい(何を明らかにする)調査なのか。

たとえば、「いじめている」のが1人で、「いじめられている」のが10人の場合と、その反対の場合では問題が違ってくる。前者は被害者の多さが問題になるし、後者は加害者の多さとその「団結力」が問題になるかもしれないからだ。

かくも、「よくわからない」ままにニュースが流れ、数字が一人歩きする。そして、「いじめが増えている今日、早急な対応が必要だ」なんて、わかったようなことを言う教育委員会の偉いさんや校長がたくさん現れて、「いじめの緊急調査」のために教員が「本務」に携われないことがくり返される。まったく不毛である。
by walk41 | 2012-02-07 11:44 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)
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