学校の「沈黙の文化」?
アメリカ、カリフォルニア州のMiramonte小学校でスキャンダルが発覚、大きな騒ぎとなっている。
それは、61歳の教員経験豊かな男性が、1979年以来勤めていた同校で児童を性的に虐待していたことが明らかになったためである。 この男は、ダクトテープで子どもたちを縛ったり、猿ぐつわを噛ませたほか、子どもたちを不適切に触ったり、「味遊び」と称して精液を飲ませていたとして逮捕された。こうした行為を男は撮影し、現像に出した先のドラッグストアの店員が奇妙な写真に気づいたことから見つかった。過去にも何度か子どもから訴えがあり、調査も行われたが、問題となる事実は見つからなかったという。 この小学校ではもう一人、49歳の男性教員も性的虐待(sexual abuse)の理由で逮捕されたが、先の男に限っても23件の問題が挙がっており、男の元から見つかった200枚以上の写真から、警察は100人近い被害者がいるのではないかと見込んでいる。 「我々が調査すべきは、沈黙の文化だ」と、同学区の長John Deasy は話すが、長らく教員への苦情が無視された保護者にとっては「信用はゼロ」。「良い教師もいっぱいいる。彼らを失いたくない」という声もある中、同校は、2日間の休校後、教員を総入れ替え、カウンセラーも配置して再開されている。 以上、http://www.stuttgarter-zeitung.de/inhalt.missbrauch-in-kalifornien-seltsame-spielchen-im-unterricht. 2012.2.11 による。アメリカのニュースでは、 http://www.guardian.co.uk/world/2012/feb/07/los-angeles-miramonte-school-removes-faculty などを参照。 --------- これらが事実とすれば驚くばかりだが、とりわけ注目したいのは、彼の国でも他の教員がやっていることになかなか口を出せない「文化」「風土」「空気」があるのではないかということだ。 教員の業務特性である、個業的な(一人でやる仕事が多い)こと、そして自律的な(自分で状況を判断して行為を決めていく)ことは、おそらく変えようがないと私は考える(個業性ではダメだ、協業性であるべきだと主張しても、教育-学習という活動の特性と整合しないと私は見る)ので、その特性を踏まえた上で、否定的側面をいかに抑止するかが考えられるべきだろう。 この点で私が描けるのは、1.教員の中にもう一人の自分を育て、分析的・批判的に自分を見つめることができるように、認知的・感情的な能力を高めると同時に、そうした自身でいられるような働き方に工夫をする、2.自分では気づきにくい点を指摘してくれる批判的友人関係を学校内外につくり、自分にとってのセーフティーネットとする。 こんな辺りかなと考えるが、皆さんはいかが思われるだろうか。それにしても、今回の事件は深刻である。
by walk41
| 2012-02-13 09:54
| 学校教育のあれこれ
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