「社会人」(日本経済新聞、2012.3.18)には、「驚き演出 授業わかす」と奈良県の小学校教諭が登場。
興味深く思ったのは、「時間を意識させると子どもは一致団結するようになる」という経験則。ストップウオッチを使って、給食の準備や掃除に要した時間を計ることを通じて、子どもの間にチームワークが生まれ、給食当番を次第に置かなくても済むのだという。
ストップウオッチと聞くと、テーラーイズム(科学的管理法)にもつながる面もあるだろうが、「早くできること」で教師の機嫌が良く、ひいては自分たちの利益にもなると実感できれば、学級での生活上の「目標」として、物語の一部になるのだろう。
教師の方も同じではないだろうか。45分ある授業をたとえば35分で終えるように努めて、残る10分を宿題や個別指導に充てる。そのために、教師も子どもも頑張るという仕掛けにするのだ。毎時間でなくても構わない。これだけでも学級の雰囲気は大きく変わるような気がする。
もちろんこのことは学級経営に留まらない。教職員の働き方の点では学校経営の問題にも連なる。「多忙」を嘆くこともわかるが、同時に、どう早く終わらせる、一区切りつけるかが「みんなの目標」として追求されているだろうか。
今の問題は、そうした試みをほとんどしないで、これまでのルーティンで「何となく」やってしまうことの多いこと。そこでは、校内研究の芽がなかなか出てこないのではないかなあ。気がつけば、おもしろいネタはいっぱい転がっているだろうに。