NHK, 100分de名著、8月はV.フランクルの『夜と霧』を取り上げる。
大学院生の頃にさらっと読んだだけで、およそ理解しているとは言えない本だったけれど、こうして解説してもらえると、なるほどと勉強になる。
この第1回には、ナチズムによって強制収容所に送り込まれるという極限の状況にあって、人が生きる糧としたのは、祈り、音楽、そしてユーモアだったという話があり。フランクル自身も収容所に送られる前に、多くのユーモアを家族に語っていたそうだ。
こうした一見、何も生み出さないように見えて、ときにムダとも思われるようなものにこそ、人の生きるエネルギーが宿されているならば、「~ができる」「~をもっと」と懸命であることのマイナス面も、確かめられるかと思う。
数日前の新聞に、やりがいを持って働いている社員が4割台に留まるという記事があった。その理由はさまざまだろうけれど、楽しいことや嬉しいことが、働く喜びにつながるならば、これらを促す仕掛けやチャンスを増やすのは、砂漠のオアシスの意味を持つのではないだろうか。
学校教育では、ともすれば、真剣に真面目にと「必死」(必ず死ぬ?)なことが強調されるが、それと同時に、メタ認知を働かせて、斜に構えたり、茶化したり、達観したりという作法も知っておくことが大切と考える。追い込まれた時に、笑って視点を変える、あるいは「誤魔化してしまう」と、選択肢が広がるから。こうしたセルフマネジメントも「生きる力」だろう。