患者を診察する医者が、起こしうるミスに、属性エラーがあるという。
患者の背格好、服装、言葉遣いのほか、身体から発せられる匂い、日焼けの程度、眼光といったものも、医者にとってはメッセージになりうる。
医者はこうした様子を目の当たりにして、過去の記憶を参照し、診断の見当をつけがちでもあるという。たとえば、薄汚れた格好の、年長の男性、アルコール臭がすれば、肝臓関係の疾患ではないかというように。患者の属性に関する医者の経験、さらには好悪が、適切な診断を阻害してしまうこと、これが属性エラーである。
学校教育でも、とくに小学校では、子どもの「看取り」と称して、研究授業の前などに子どもの様子を数十文字くらいのテキストで表現することがある。これは、教員の授業にとってどんな意味を持つのだろうか。これがあることによって却って、判断を誤ることはないのだろうか。そもそも、授業中にその看取りが教員によって活用されているのだろうか。そんな時間はあるのだろうか。疑問は尽きない。
教員の職務行動を分析する際、意思決定のありように注目することが重要な所以である。