過日、講演をしたあと、私は不在だったが、集まった高校の校長先生たちの懇親会で、世話人を務めた方に多くの校長がこう声を掛けたとあとから聞いた。
もちろん、客人向けのリップサービスもあるだろう。正面切って、批判する人も珍しいだろう。
その上でなお、こうした言葉を頂戴できることを何にも増して有り難く思う。なぜって、こうして自分が生かされていると感じられるから。
まさに一期一会なのだが、その限られた機会に多少なりともこうした感想をいただける時間をともに過ごせたことが嬉しい。私の投げたボールを契機に、これから皆さんで議論が起こるようなことがあればなお有り難い。
第三次産業、その中でも「商品」のはっきりしない人文・社会系の講演や研修では、当事者の満足や納得にもっぱら依拠している。そこでは、「正しいこと」を講師が伝えることができず、かといって「そう思う」ではあまりに無責任である。こうした機会を持つ意義はそんなことにあるのではない。「このような見方はどんな示唆をあなたに与えますか」という異なる角度からの問いかけにこそ、意味があると考えるべきだろう。
教育学の講演や研修も、聴いて下さる方々と直接、間接の対話ができること、もって講師じしんが大いに学べること、こうしてこそ、その場に立つ意味があるかと思う。この点で先の感想は、みなさんとそれなりの対話ができたように思われる点で、とても嬉しかったのだ。