学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

"I like dogs."

ある研究発表会にて講演資料として配付された、英語教育に関するスライド資料。

この講演を聴くことはできなかったが、この資料からおおよそどんな話だったかがわかる。その主題は、英語が「数を意識する言語」だと言うことを知って学んでほしいということ。

この分野の専門家を前に、おそらく失礼なのだろうけれど、とても不思議だ。だって、"I like dog"は間違いで、数えられるいろいろな種類の犬がいるのだから"dogs"でなければならない、と説明されるからだ。

こうした言い方に、みなさんは疑問を感じないだろうか。「ぼく、犬が好きなんだ」と言うとき、それは特定の犬、あるいは特定の種類の犬を指しているわけでなく、犬という種をおしなべて好きなことを意味するのは、日本語を解する人ならばみんなわかること。つまり、「犬」という表現は、いろいろな犬、つまり複数を意味しているのだ。

にもかかわらず、「犬」は単数形だから"dog"、このままでは間違いですよ、という注意が何か大事なポイントのように語られる。これって変。だって、「犬」という表現が単数形なんて、誰も思っていないもの。「私の飼っているこの犬」とか「ご近所のプチって名前の犬」とかならば、単数形なのはわかる。だって、一頭だけを指しているから。こういうときに「犬が好き」とは言わない。むしろ、大型犬は好きだけれど小型犬は、とか、その反対といった話だとイメージは沸く。あるいは、「イヌ派かネコ派か」という話ならば、"cat lover"や"dog lover"(単数形の表記やん!)というべきであって、まちがっても、"I like …"にはならないだろう。はたまた、「どうしてシェパードが好きなの?」は、"Why do you like shepard?" と単数形よ(^^)/。

つまるところ、①「犬」と聞いて即、単数だと理解する人は幼い。「犬」は意味としては通常、複数である。②「私は犬が好きだ」なんて、「これはペンです」並の、およそ誰も言わないような表現である。③よって、"I like dogs"が正しくて"I like dog"は間違い、といった議論をすること自体が意味あるとは思われない。

なんかなあ。もうちょっと知的興奮を覚えるお題で講演してほしいなあ。こんなん、時間がもったいないやん。「あんたはどうなんや」って、突っ込まれるかしらん。
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by walk41 | 2013-02-26 23:14 | ことばのこと | Comments(0)
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教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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