山の声を聴く
NHK、「新」ルソンの壺、は、吉野の山を守る男性を描く。
若い頃、当時の近代的な林業に魅了され、切り出した木を運び出すために大型車が通れるように道を作ったが、山の柔らかな部分を削り取ったために土砂がくずれ、60年前に植えた杉もろとも崩落。先代から仕えていた番頭が、荒れ果てた地肌を撫でながら涙を流したという。 それ以降、削ってよいところを知る、削る場合も小型車が通れる最低限の幅とすることを学んだほか、山の声を聴くべきと知る。 学校に限らないが、マネジメントの議論は、ともすれば、操作主義的つまり、手をかければ何とかなる、さらには自分の思うように相手を変えられることを前提にしがちだ。「PDCAサイクルを回す」という言い方も、操作しようとする側だけの都合で発想する。物言わない「もの」であってすら(山の木は「もの」だろうか、そうではないのだろうか)、人智で扱えることは限られるのに、組織マネジメントなるものは人が他者を操ろうとするのである。 かたや、働きかけられる児童・生徒や教職員ほか、学校関係者が、計画立案者の予定どおりに動くかどうかは微妙、というか、そちらにはそちらの都合や事情、気分・感情があるのだから、その通りになると考えることそのものが、傲慢で幼稚なことなのだ。 にもかかわらず、「実施しながら適宜修正をすればよい」とか「このサイクルを回すためには意識改革が必要」と繰り言を続けるだけでは、変えられる部分も変わらないというべきだろう。学校教育的、すなわち学校経営実践として働きかけられる対象は、同時に主体でもあるのに、彼らの発想、言動、事情があることを軽視してはいないだろうか。 「そんなことを言っていたら、何も変えられないじゃないか」と言う方がおられるかもしれない。これに答えよう。その通り、変えることは容易ではない。自分で変わろうと思ってもらえない限りは。現に何か変わっただろうか。好例があれば挙げてもらいたい。 校長のリーダーシップ、教育委員会による支援、はたまた同僚性を通じてと言おうとも、最終的には生徒、保護者、教職員が自分なりに気づき、わかり、変わろうと思ってこその「効果」であり、そうでなければ、見せかけの、ちょうど、研究発表授業での「やらせ」のようなものである。ほんのひとときの事実を作り上げることができるに留まり、「生涯にわたる」とか「生きる力」と言われるものには届かないだろう。 人に影響を及ぼすことを狙いつつ、そうしようとすること、そう考える幼さに恐怖すること、そんなアンビバレントな態度とこれに耐える能力がより求められるのではないだろうか。
by walk41
| 2013-04-14 09:24
| 身体
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