NHK,「100分de名著」、5月は老子。人名かと思いきや、どの人かははっきりしないのだと、初めて知った。
この最終回、作家・詩人でもあるドリアン助川さんが登壇、赤塚不二夫さんの作品「天才バカボン」のパパに即して解説してくれたのが楽しかった。
番組の後半、助川さんが語る、世の中と社会の違いについて。「社会」は人間の作る世界、でも、「世の中」はそれよりも遙かに広い世界で、人は(人に限らず万物が)世の中で生きていることに気づければ、物の見方が変わってくるのではないかと話してくれたのが印象的だった。
「わかってはいるつもり」だけれど、日々気づくことはなかなか難しい。自分の知らない世の中があまりにも広く広がっていて、社会なんて小さなものに拘っている自分が小さく見えるということを。
言わずもがな、社会は、家族、友人、勤め先、あれこれの団体やしがらみ、それらに拘ることも良いけれど、それが全てではないこと、何がどう転じてどうなるかはわからないから、人生これ塞翁が馬と心得ること、一喜一憂しないこと、せっかくもらった命、大切にしたいものだと。でも、なぜか学校では「社会の一員として」とか「社会参加」とは言っても、「世の中に生きる」とはなかなか話をしてくれないものなあ。
バカボンのパパがいつも言う。「これでいいのだ」と。赤塚不二夫さんはすでに亡くなったが、HPは健在だ。http://www.koredeiinoda.net/ 「そんな馬鹿げたことを」とまま揶揄されることを、逆説を承知でまさに地で行った彼が、さらに評価されるべきと思わされる。