中学校で授業を見せてもらった。生徒の人数の制約もあって、授業者も「観てもらう授業」にするのにひとかたならず苦労があったと思う。
授業後、研究協議と題して話し合いがあり、最後に「では、ご指導を」と振られたので、次のように話したのだ。
「このようにしたら良い授業になるとか、これはまずい授業だ、といったことはほとんどないと思います。ですから、こうした場で問えることはおそらく、この時間の授業をまたするとすれば、どんな風に構想し、やってみようと思いますか、と授業者の発想と行動のバリエーションを広げ、いわば引き出しのより多い教員へとなっていってもらうことではないでしょうか。」
そう話した直後、授業者の一人が、「今度は、〜を〜のように進められれば…」と返してくれたのが嬉しかった。「こうするのが良い授業」と、もっともらしいことを言うのが難しいのなら、いろいろなありうる授業を生み出すことができるように、こうした機会を活かすこと、それが収束ではなく拡散させる授業探しにつながると思うのだ。