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学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

テクニックではなくてスキル

いつきさんからコメントを頂戴した。ありがとうございます。

>ちなみに、わたしは自分がつくったプリントも生徒にあわせて微調整します。というか、そうしないと使えないんですよね。

という行を興味深く読んだ。自作のプリントですら、生徒に合わせて微妙に変えられるという辺り、いつものPDCA論批判に加えて、教育技術あるいは方法について議論できると思う。

相手に相当に規定される「出たとこ勝負」が授業や生徒指導の特徴であること、このために教育しようとする側だけで計画を立てたり、それに即して実施したり、はたまた評価するという想定がいかに的外れかは、重ねて明らかだろう。

これに加えておもしろいと思うのは、自分なりに考えて用意した教材ですら、生徒の様子や彼らの状況を踏まえて調整される必要があるほどに、「オン・デマンド」なこと、つまり臨機応変さが重要だということだ。この点で、教育の方法というか技術といった代物は、主体や客体あるいは当事者を離れては存在しない。「この場合は…」という但し書きが常に伴うということである。

これが、教育にはテクニックではなく、スキルあるいは技という言葉がより適っていることだろう。テクニックは主体を離れて存在するが、スキルはそれなりに主体に内在化されており、「その人ならでは」の部分がどうしても残るのだ。アートはよりその趣が強い。芸術はコピーできず、その人だからこその度合いがもっとも強いのである。

このように考えると、教員の専門性が「誰にでもできる」ような話に帰結するものではおよそないこと、だからこそ、しなやかで柔軟な主体であることができるような自身とその環境のマネジメントが重要なことを導ける。

管理者には口惜しいことだが、「いつでも、どこでも、だれでも」できる云々という話に学校教育は合致しないこと、そして、いかに短時間での診断や見立てを通じた意思決定の能力を高めるかが問われていることを知るべきなのだ。もちろん、教員それぞれも同様である。
by walk41 | 2014-06-28 21:38 | 身体 | Comments(1)
Commented by いつき at 2014-07-03 07:41 x
とりあげていただいてありがとうございます。

「テクニックとスキル」とても興味深く読ませていただきました。
で、ふと思ったのが「わたし(たち)はテクニックの部分とスキルの部分をごっちゃにしてるのではないか」ということでした。
端的に言うならば「教授(いかに伝えるか)」についてはテクニックは存在するけど「教育(教育ってなにをするんでしょうね^^;;)」はスキルなのかなぁと。
で、その「なにをしてるのかよくわからない(笑)教育」というのを「教授」とごっちゃにしているところにもんだいがあるんじゃないかなと。
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榊原禎宏のブログ(Yoshihiro Sakakibara Blog) 教育学の一分野、学校とその経営について考えます(um die Schule und ihre Verwaltung und Management)
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