京都市内はほぼ桜の季節も終わったが、キャンパス内ではわずかながら、残っているところがある。
傍にあるブロックに腰掛けて本をめくってみる。新緑の枝が風に少し揺れながら影を作ってくれる。しばらくページを繰る。花びらがはらはらと落ちてくる。少し風が強いが、もう寒くはなく、心地よい。研究室ではないところで、こんな時間を過ごすなんて、いつ以来だろう、と思う。
ふと思いつく。退職してからもこうして大学に来たら「老後」のいい時間を過ごせるかもしれないなあって。もう少しこうして居たかったのに、近くで新入生の歓迎行事だろう、にぎやかな音が聞こえてきた。これでは落ち着かない、退散するとしよう。
短かったけれど、春を楽しむことができた。ちょっと元気ももらった。