稀だが、高校生に話をすることがある。大学の宣伝も兼ねて、教育学の基本的なテーマを紹介する機会だ。
学校経営や学校教育行財政の領域では、数値を伴う事項が少なくないので、たとえば、児童・生徒数や彼ら一人あたりの教育費を取り上げる。けれど、さっぱり見当のつかない高校生の場合、じゃあ日本の人口から考えてみようと話を向ける。すると、びっくりするような答えが返ってきた。
「えーと。3。3億人」「63だったかな、だから63億人」
いやー、驚いたなあ。世界人口が70億人を突破したと、少し前に報じられていたばかりなのに、こんな感じである(聞いた限り)。
同席していた高校教員に向かって「よろしくお願いしますね」と意地悪を言ったけれど、これではまずいと思う。何が基礎や基本かを定めることは難しいけれど、とはいえども、ここまで知らないと話ができないと思うので、まずは獲得してほしい。
こんなところに「学び」は要らない。「知る」こと、そのためには「教えられる」ことも有効だ。知るための活動を「訓練」というのか「反復」というのかはわからないけれど、「これくらい知らないと話が始まらない」と言うのは、大学側のわがままだろうか?