学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

「勉強になった?」

授業とその後の研究協議を参観すべく、ある小学校にお邪魔した。

随所に工夫が見られ、また児童に応援された、日頃のクラスの様子がよくうかがえる、楽しい授業だった。その後、場所を移して15人くらいでの話し合い。司会は流れをよく考えて問いかけていたと思うが、「発言を切らさないようにしてください」「感想でも結構ですから」と、協議という名前とはちょっと違う、参観者のお喋りの散発に留まったように思われた。

その後で、校長ほか何人かと懇談。そこで、いつものことながら次のようなことを申し上げた。「過日のノーベル賞の受賞と比べるのは変かもしれませんが、研究という言葉は学校でどのような意味で遣われているのでしょうか。何かを発見するという意味ではないのならば、どんな意味合いで、授業研究とか研究協議といった言葉を用いているのでしょうか」と。すると、中堅とおぼしき教員が答えてくれた。「私もまだ若手なのでよくわかっていないのですが、自分の引き出しを増やす、参考になることを見つける、という感じでしょうか。」

私が返す。「そうですね。何かの発見というよりも、これまでの自分がやってこなかった点を見つける、これまでの自分の授業と異なる点を問うて議論の俎上に載せる、あるいはある方法の効果について経験を元に議論する、といったものが、学校でいう授業研究だと共通理解されることで、授業前後の議論がより焦点をもった、生産的なものになるのではないでしょうか。」

この会の終わりに別の学校の校長が言われた。「協議の終わりの時間が早く来ないかなと待ちながら、授業者への労いと感謝、良かったですの感想の言い合いに終始している、という先生の指摘、まさにその通りです。授業を観て、協議に参加した教員に、『勉強になった?』と尋ねてみたら、どう答えるだろうかという問いかけについて、今日ここで学ぶことができました。」

嬉しいコメントだったけれど、今なお、そんな授業研究という出来事が学校では当たり前に行われていることを残念にも思った。議論をするのなら、質の高い、議論に値する問いを用意あるいは協議中に組織することが大事。そもそも何を議論するために集まっているのか。こうした事柄が、大卒が圧倒的な教員の世界で、なぜ常識になっていないのだろうか。
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by walk41 | 2016-10-13 09:11 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)
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教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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