学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

「他人の気持ちを考えなさい」

NHK朝のニュース、ロボット研究者である石黒浩さんの話が興味深かった。

子どもの頃に「他人の気持ちを考えなさい」と大人に言われたとき、他人、気持ち、考える、ってどういうことだろうと疑問に思ったのだと言う。

たとえば、気持ちとはどういうものだろう。それはどう捕まえることができるのだろう。あるいは、考えるってどういうこと、考えていることと考えていないことの違いは何か、ってあなたは答えられるだろうか。

そんな不思議さを大切にして、自分を自分で見たらどう見えるんだろうと、アンドロイドロボットを作ったのだとか。

教育の世界では、「わかりやすい授業」とか「わかる喜び」と、わかることへの慎重さとか、さらに言えば恐れ/畏れといったものが驚くほど軽視されており、さながら「わかる万歳教」の様相を呈しているが、はたしてわかるとはそれほど簡単なことなのだろうか、また、わかることはそれほど良いことなのだろうか。

わかるとは、分けるでもあるから、ある基準(format, frame, schema, reference,paradigmなど)に合わせて分類することだ。「男だから、女だから」「子どもだから、大人だから」「国民だから、外国人だから」「平日だから、日曜だから」「正しいか、間違っているかだから」と、二分法ほか、わかりやすいモデルにしたがって、実は容易には分けられないことをどこかに埋め込むように分類する。だから、わかりやすい説明は、人々を惹きつけ、そして判断を誤らせる。「敵か、味方か」「神か、悪魔か」とこれまでも多くの誤りがなされてきた。

いろいろな世界を見せることは大切だと思う。けれど、そのことが即、わかるにつながらなくてもいいのではないだろうか。「わかったような物言い」とか「わかったふり」といった、否定的な表現もある。わかるとはそんなに即席ではないだろう。「なぜかわからないけれど、とりあえずそうなっているんだ」とか「へえ、なぜこれを「正しい」って決めてるんだろうか」と疑問を抱きながら、世の中を眺めることも優れて重要ではないか、と氏の語りを聴いて思わされた。
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by walk41 | 2017-01-23 09:59 | 研究のこと | Comments(0)
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教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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