学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und Schulmitglieder

萎縮することの怖さ

いくつになっても煩悩を断ち切れないというか、少し若い時のことを、ひょんなタイミングで思い出したりする。

当時、私は研究者としてスタートを切ったばかりで、その世界ではいわば一番弱い立場にあった。そんな状況で、普段から目を掛けてくださっていた別の大学の先生から、その時におられた海外の地に、夏休みだから遊びに来ないかと連絡を頂戴したのだ。それは嬉しいことだったが、その時の自分の立ち位置を考えて、つまり必要のない過度な萎縮をして、その話をお断りしていたところ、どこから聞きつけたか、「そちらに行くんだって」と職場の「上司」に咎められたのだ。

実際に行くつもりはなかったし、その旨を伝えたにもかかわらず、「そうは言っても行くんだろう」などと、ほとんど査問あるいはいじめのような言葉を浴びせられた。重ねて否定していたものの話が終わらず、最後に「誰がそんなことを話しているのですか」と返したところ、「君に言う必要はない」とキレられた。これが当時、60歳間近だった旧帝国大学教授の振る舞いである。なんと情けないことだったか。

ずっと後になって思えば、休暇の時にどこに行こうが、何をしようが、関知してはならない、ましてやそれに意見してもいけないことは、近代的な任用・雇用関係の原則だ。だから、こうした某教授の振る舞いがそもそも許されるはずもない(残念ながら、当時は、パワハラという言葉がなかったのだ。くわえて、自分の頭の悪さも災いした)。ましてや、この御仁は当時、「子どもの教育を受ける権利」などとミニ「人権派」を気取っていたのだ。言っていることと実際にやっていることが、これだけ鮮やかに相反するとは、唱道していることの金メッキが剥げたと言うべきだろう。

こうした環境にあって、むしろ自分がいけないかのように思ってしまいかねない萎縮、自己規制という身体状況が生まれるのは、まったく怖ろしいことである。日頃、自分の身体は制御しているつもりだけれど、必ずしもそうではないと気づくべき点である。

だから重ねて思う。今や一番弱い立場からは離れてしまった自分が、後進や関係する人たちに不自由な思いをさせていないか、反論や批判のチャンネルをしっかり確保しているか、できるだけ自由闊達なやりとりができるように、つまり肉体的・精神的・社会的に健康な場を設けているだろうか。これらを常に自省したいと。
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by walk41 | 2017-05-03 11:42 | 身体 | Comments(0)
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