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学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

見て見ぬふりをしている自分

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上の画像は、http://masterlow.net/?p=217 より拝借。

映画「この自由な世界で」(2007年、イギリス)をインターネットで観た。イギリス作品ということで米語とは違う英語が新鮮だった。

さて、この作品ではイギリスにおける移民、難民問題が正面から扱われており、ポーランド、ウクライナ、ルーマニア、コソボといった東欧やロシア方面、あるいはイランなどからやってきた人々の状況が描かれる。ドイツ、フランス、オランダやイタリアといった国の名前は挙がらない。同じヨーロッパでも扱われ方は違うこと、さらにその周辺の国々に対する、イギリスのおおよその世論を出演者に代弁させているように思われた。

こんな映画を観ると、「順法精神(コンプライアンス)が大切」といった行政官の物言いや、「みんなが規則を守らないと世の中が乱れてしまう」と物知り顔でいうような教師の言が、いかに安定した、平和な社会にいるからこその世界観に基づいているかがよくわかる。それは、守りたくても生存が、生活が優位するから、守れないことを想像できない、あるいは「嫌だったら、国に帰れ」がいかに酷い言い方かを共感できないことと、さして違わないと思う。みんなが守るべき法や法律があって当たり前と思う「脳天気さ」(「豊かさ」)を疑わない/疑えないか、知っていて知らぬふりを決め込んでいるか。いずれにせよ、褒められた話ではないということだ。

同フィルムの中にこんな感じの台詞がある。”国では教師や看護師、医者だった連中が、ここではウエイターの仕事しかない。しかも最低賃金でだ。” 日本は移民を「最劣等生」なほどに受け入れていないので、一見、「一億総中流」に見えなくもないが、実際には「不法移民」がいるだろうし、彼らだからこそ担ってくれる仕事もあるだろう。

選挙権/被選挙権を持たず、そもそも住民であると胸を張ることもできず、それでいて消費税ほか税金はしっかり取られるという不利な立場の人たちがいることを薄々知りながら、知らないふりをしている自分がいる。「なんとなくだけど、そうじゃないの」と常に流れ込んでくる「常識」に便乗してしまう自分が、見ようとしなければ見えない事柄に対して、知らないふりを決め込む。「知っているふり」をするのは、新しく知ることを恐れているのか、それとも怠惰が勝っているからなのか。自分が批判されることをいかに遠ざけないでいられるか、と考えさせられる映画だった。



by walk41 | 2018-01-20 23:26 | 映画・ドラマ | Comments(0)
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榊原禎宏のブログ(Yoshihiro Sakakibara Blog) 教育学の一分野、学校とその経営について考えます(um die Schule und ihre Verwaltung und Management)
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