学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

教職に就くということ

教員としての力量を身に付けるとはどういうことか、そもそも教員らしいとはどういうことかといった、実践には直接に役立たない問いは今や御用にあらず、いかに教員採用試験をクリアするか、が大学の効用として求められ、それを数値的に説明することが当たり前の光景と化している。

けれど、資格試験と違って採用試験は需給関係に左右されるから、採用されるかどうかはかなり相対的であり、地域差、時代差が大きい。民間ベースでネーミングされる「就職氷河期」に思うように就職できなかったからと言って、能力が低いとは判じられないのと同じである。

また、新規卒業後、すぐに就職できなければ採用者にカウントされないというのも解せない。一年くらい大学とは別の経験をしてみようと思うのは、そんなに否定的なことなのだろうか。その一方で、常勤講師等は数に入れてよいというのだから、何のこっちゃである。いったいどんな意味を持つ数値なのだろう。

くわえて奇妙なのは、一度、教員として就職すれば、それは「教職に就いた者」として数えられたままになることだ。私だけだろうか、大学卒業後、一度は教職に就いたものの、色々な事情や考えから、三年以内に離職した人を数人知っている。男女差もあるようだが、これは教職世界に送り込んだという点で、十分とは言えない。教育委員会サイドから見ればきっと、「もったいないなあ」「ややこしい話やなあ」だろう。良くも悪くも、しっかり教職に就いたとまでは言えない。

だから提案、もし教職にどれだけ就いたかを問題にするのであれば、卒業後数年間のうちに採用され、かつたとえば、その5年後も留まっている人の数を数えて、卒業者数に対する教員就職率と称してはどうだろうか。大学にとって教育委員会にとっても、そして文部科学省にとっても、今よりもっと中長期的な発想が求められることだろう。

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by walk41 | 2018-05-16 18:35 | 大学のこと | Comments(0)
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