学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

論文の効果?(そんな訳はないだろうけれど)

インターネットニュースで以下が流れてきた。小学校であだ名禁止や「さん」づけが広がっているというものだ(抜粋)。
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千葉県内の公立小学校では、生徒間だけでなく、教職員が生徒を呼ぶ際に、「○○さん」と呼ぶように定めている。県内の小学校教頭が語る。

「教職員が生徒を呼び捨てにすると、生徒たちの言葉が荒くなることが予想されるためです。優しい呼び掛けをすれば、続く言葉も自然と優しくなりますから。子供たちの場合も教職員と同じで、できるだけ優しい言葉を使っていこうということです」

※週刊ポスト2018年5月25日号

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以前、榊原禎宏「叱るときこそ丁寧にー教師の子ども呼称における賭け」(京都教育大学教育支援センター『教育実践研究紀要』12、2012)にて、次のように記した。

「…そして三つ目は、感情労働として教職を捉えれば、相手に丁寧に接することは、自身を落ちつかせるマネジメ ントにつながり、これと反対の状況、すなわち相手に乱暴に接すると、自分を操ることを難しくもする。つまり、 呼び捨ては引き続く表現と合わせて、自身をいたずらに興奮させ、また自分の乱暴な物言いに興奮した相手の感情に自分が影響を受けてしまうことで、セルフマネジメントを困難にする可能性を高めるのである。短い時間で の意思決定が職務上きわめて重要な教職において、冷静な業務遂行は必須ともいうべき条件だが、呼び捨てはこれを危うくしかねない。」(p.228)

いかがだろう。ともすれば呼び捨てが愛情表現や信頼関係の証しなどと評されるのに異議を唱え、呼び捨てが教員ー児童生徒関係のみならず、教員のセルフマネジメントにおいてもリスクを孕むことを述べていると思う。この点を踏まえた学校での取り組みがなされ始めている、と見て良いのではないだろうか。

もっとも、この論文が読まれて、なるほどと思われて、各地での実践へと連なっていったわけではまあないだろう。けれど、上のようなニュースはまずは嬉しい。ただでも葛藤や衝突と穏やかならぬ空気の漂いやすいのが学校と教室なのだから、その方向に棹ささないようにできることを探し、試みることはすぐれ重要と考えるからだ。

こうした試みが何を導くのか、「現場」からの報告を知り、また考えたい。


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by walk41 | 2018-05-18 06:35 | ことばのこと | Comments(0)
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教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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