「なんて言うかなあ」というとき、知らず知らずのうちに「えーと」と、日本語話者は話さないだろうか。この様子をドイツ人の友人は、笑って見ていたりする。ドイツ語話者には無縁の間投詞だからだ。いつの間にこんな表現を身につけたか知らないが、こうした曖昧なことばも、自然発生のものではなく社会的な所産だと知らされる。
では、ドイツ語ではどんな表現が当てはまるんだろうと尋ねると、“sozusagen“かなと大学の同僚が応えた。英語で“so to say“に近いと思う。なるほど、では似たような表現で、“sag mal“ という言い方もあるけれどと話を振ると、それは子どもっぽい言い方かなと。へえ、じゃあたとえば、「ねえねえ」という子どもことばと「何と言うかな」という大人ことばとの違い、という辺りだろうか。
ひょっとして、ドイツ語をわかったつもりで、「何て言うかなあ」の意図で“sag mal“なんて言う、植民地根性丸出しの人はいないかしら。きっと格好悪いことだから、気をつけてね。
追記、大学で飛び交う言葉を耳にしていると、「えーと」というニュアンスによりふさわしいのは、“wie sagt man..“、英語なら“how do I say?“という感じかなと思います。そして、“sag mal“はむしろ、「本当に?」「冗談でしょ」という意味合いの強いことも知りました。