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学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

カテゴリ:ドイツのこと( 523 )

学校に行かないことのペナルティ Bussgeld fuer Schulschwaenzen

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https://www.stuttgarter-zeitung.de/inhalt.flughafen-stuttgart-ferienbeginn-schulschwaenzen-hat-saison.48da6d9a-8e28-49aa-85f6-1ae89222c912.html Stuttgarter Zeitung 2019.6.6、より。

連邦制を採用し、教育・文化領域での州の権限が強いドイツでは、各州が学校教育について定めている。もっとも、長期休暇については、混雑を緩和するべく州間で調整がなされており、2019年の夏休みは、一番早いのが6月20日に始まるベルリン州とブランデンブルク州、最も遅いのが、バイエルン州とバーデンヴュルテンベルク州の7月29日と、1ヶ月以上の違いがある。

さて、バーデンヴュルテンベルクではまだ学校が続いているが、ハイシーズンの高い運賃を避けるために、早くも休暇を取る家庭が現れていると新聞では報じている。シュトットガルト空港にはそれを見張る警官が配置されるとの都市伝説も生まれるほどだから、子どもに学校を休ませて休暇に出かけるケースがあるのだろう。

これ自体、学校にとっては問題だが、興味深いのは、こうした学校をサボタージュさせる保護者に対して罰金が科され、これが行使されていることだ、同上記事にはこうある。「シュトットガルト市は昨年、不登校をしたことに対して830件の罰金を科している。それは一日あたり100から180ユーロであり、1000ユーロを上限とする。2018年の場合、このうち520件は生徒が意図的に学校をサボったケースである。残る310件は、子どもが規則正しく学校に行くことに保護者が頓着していないケースであった。」

「学校教育法 第百四十四条 第十七条第一項又は第二項の義務の履行の督促を受け、なお履行しない者は、十万円以下の罰金に処する。」と、日本でも子どもの不登校に対して保護者への罰金が記されてはいるけれど、これが行使されたという話を寡聞にして知らない。

この点だけを取り上げると、ドイツにおける「法律は法律」と躊躇しない行政側の姿勢と、その上でなお「家族の自由」と学校を休ませる保護者の強さをうかがえるように思う。


by walk41 | 2019-06-12 11:20 | ドイツのこと | Comments(0)

排斥が進むオーストリア Exklusion in Österreich

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同じドイツ語圏ではあるけれど、多様性や異質性を重視しようというドイツに対して、隣国のオーストリアは少し事情が違うようだ。

Spiegel online, https://www.spiegel.de/politik/ausland/oesterreich-beschliesst-kopftuch-verbot-an-grundschulen-a-1267656.html は次のように報じている(写真も)2019.5.15付け。

オーストリア国民党とオーストリア自由党の賛成により、基礎学校におけるヘッドスカーフを禁じる法案が可決。

オーストリアの基礎学校では、子どもはヘッドスカーフを身につけてはならない。右派の保守政権の賛成によりオーストリア議会が議決。しかし、この通りに法律化されるかどうかは、まだ不透明だ。

保守の国民党と右派の自由党の賛成、可決により、今後「頭を覆うという、世界観あるいは宗教色に彩られる衣装を身につけること」が禁じられることになった。ただし、雨や雪から頭を守るためという医学的理由は除外される。また、ユダヤ教のキッパ(男性が頭につける小さな覆い)については、「頭全体またはその大部分を覆っている」という衣装禁止の点から言って、許容範囲である。もっとも、この法律に対しては、憲法裁判所への異議申し立てが行われる見込みだ。

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いかがだろうか。宗教的アピールだと反対を主張する立場と、思想・信条の自由あるいは宗教の自由を主張する立場の衝突。「社会の秩序」と寛容さとの葛藤を、いかに乗り越えることができるだろうか。


by walk41 | 2019-05-19 13:42 | ドイツのこと | Comments(0)

学校の態度の違い Unterschied zwischen den Schulen

https://www.morgenpost.de/vermischtes/article216813241/Amoklauf-angekuendigt-Schueler-in-Flensburg-festgenommen.html に、20190403のニュースが載っている。ドイツのある職業学校で、無差別殺人をするという予告があったが、警察と学校が関連する情報を得て、17歳の生徒を特定、逮捕したというものである。ちなみに、この生徒はナイフをリュックサックに所持しており、ただの脅迫ではなかった。

さて、この記事中に、とても興味深い記述がある。その一つは、在籍する生徒が逮捕されたことについて、校長が「学校と警察とのプロフェッショナルな連携の賜物」(Schulleiter Sven Mohr lobte die Zusammenarbeit mit der Polizei als sehr professionell.)と好意的に評していることである。

またもう一つは、生徒が学校で逮捕されたのは、朝の7時頃。7時40分から始まる同校では、ほとんどの生徒が登校しておらず、事件のことを知る生徒も少なかったということを受けて、授業は普段通り行われたということである。

いかがだろうか。日本ならば差し詰め、学校が記者会見を開いて、「お騒がせをして、まことに申し訳ありません(深々と記者の前でお詫び)。いじめがなかったかを調査します。また、生徒の心のケアにあたるスクールカウンセラーの要請をしたところです。今日は休校とし、近々、全校集会を開きます」という筋書きではないだろうか。

生徒を大人扱いしていること、犯罪を教育問題として引き受けないこと、学校の予定をより重視すること、の点で、ドイツのこの学校が優れていると、私は思うけれど。


by walk41 | 2019-05-15 20:30 | ドイツのこと | Comments(0)

ひとり一票である必要はない。 Jeder kann mehr Stimmen bei der Wahl haben

一斉地方選挙も後半、こんな時期にドイツの友人から面白い話が聞けた。

彼女の住む州の限りだそうだが、市議会選挙と郡議会選挙は、複数の票を有権者それぞれが持つという。たとえば、40議席で構成される市議会の場合、驚くべきことに有権者はひとりあたり40票を持つのだと。

その40票は、支持する候補者に候補者一人に最大3票まで投票できる。もちろん、候補者ひとりに1票ずつ、40人に投じてもいいし、政党をまたいで投票することもできる。あるいは自分は20票分しか投票しない、ということも可能だ。もっとも、勢いあまってある候補者に4票以上投票してしまうと、すべてが無効になるとのこと。あるいは、この仕組みをしっかりと理解できない有権者がいることを十分踏まえなければならない、とも話していた。

ちなみに、ドイツの投票は候補者名を書くのではなく、候補者名のリストに×印をつけることが投票になるから、上の方法が可能とも言える。40票分の名前を書くことは現実的ではないもの。くわえて、投票用紙を予め受け取って、家でゆっくりと記入(投票)することもできるとのこと。誰が記したかわからない可能性がある点で、難ありかもしれないが、一つの方法ではある。

1人の有権者の投じることができる票が1票しかないことに以前から疑問を持っていたが、それを支持してくれる事例がドイツですでに長く存在していることを知って、嬉しかった。日本でもこんな仕組みがあれば、政治地図も大きく変わるのではないだろうか。



by walk41 | 2019-04-21 23:34 | ドイツのこと | Comments(0)

「人が本を焼くところ、最後には人間を焼くことになる」"Dort, wo man Bücher verbrannt, verbrannt man am Ende auch Menschen"

この言葉をの残したのが、詩人としても有名なハインリッヒ‧ハイネ(1797-1856)だとは、全く知らなかった。

デュッセルドルフ生まれのユダヤ人で、十字軍に批判的でもあり、自由主義的な政治姿勢を持っていたハイネは、反ユダヤ主義者(アンチセミティズム)や国家主義者から死んでもなお敵対視された。若きカール‧マルクス(1818-1881)とも交友があったという。

その彼が、1823年に発表した悲劇"Almansor"では、のちの1500年にスペインの町グラナダになるところで、キリスト教の司祭がイスラム教の経典コーランを燃やしたことを描いており、この有名な引用はこの作品から来ている。

そして、まさにまったく悲劇的なことに、このハイネの言葉は、作品発表の110年後、1933年にヒトラーによる独裁の時代が始まり、ハイネの作品は退廃芸術として燃やされる一方、ユダヤ人ほか夥しい人々が殺され燃やされるに至って予言となった。悲しいまでの慧眼である。

by walk41 | 2019-04-19 14:24 | ドイツのこと | Comments(0)

多様な社会における政治的勢力 politische Beeinflussung in der mehrfachen Gesellschaft

研究会の集まりでドイツの学校について発表した際、政党の違いによる学校政策の違いの話になった。質問に答えながら、特定の州以外の状況は知らないなと反省されられたことだ。

たとえば、ドイツ連邦議会の現在の政党別議席数は図のようである。総数は709人、得票率が5%に満たない政党または会派を構成しない議員4人以外はすべて政党に属している。

上から順に、キリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟、社会民主党、ドイツのための選択。自由民主党、左翼党、同盟90/緑の党、となっている。いずれの政党も過半数に達せず、現在はCDU/CSUとSPDが大連立(Grosse Koalition)を組んで政権を担当している。もっとも、それでも合わせて398席、全体の6割に満たない。6つの政党がそれぞれ約10~30%の支持を受けて拮抗している状態、これが多様な社会の一面でもある。

翻って、おびただしい死票の出ている日本の選挙制度がドイツに倣えば、日本でも実質的な連立政権は不可避だろう。交渉と妥協の政策形成、これが近未来の社会の基本になるのだと思う。


by walk41 | 2019-04-15 10:06 | ドイツのこと | Comments(0)

スペリングミス Rechtschreibfehler

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2019.3.29 Stuttgarter Zeitung記事。「老化のいろいろな秘密」と題して、「人はいかに老いて健康でいられるのか。私たちは、老成学研究者たちの話を聴いた。そして、Stuttgartに住む93歳の男性に長寿の秘訣を尋ねた。」と見出しにあります。

ところが、冒頭の単語、“Wie“(いかに)であるべきが、“Wir“(私たちは)と綴り間違いになっています。新聞記事でもこうしたことがあるんだと、ちょっと驚きました。ドイツだから、とは言いませんよ。


by walk41 | 2019-04-01 10:21 | ドイツのこと | Comments(0)

大きくなる公共圏 vergrössertes Öffentlichsgebiet


ドイツでは、2020年から「諸州の財政的バランスに関する新規定」(Neuordnung des Laenderfinanzausgleichs)が発効。連邦政府は97.5億ユーロ、およそ1兆2000億円を州に対して支払うことができるようになる。この措置のためには、連邦基本法(連邦憲法)の13の条項の改正が必要であった。

これにより、高速道路、遠距離鉄道、学校教育などの分野での、連邦の州に対する関与が強まる。連邦国家において、どこまで連邦が関わることができるかという問題である。

この決定に至るまで、経済力の高い州、たとえばバイエルン州は、州が支出すべき総額のおよそ半分をも自州が負担することになる「極めて不公正」だと、憲法裁判所に訴えを起こすなど反発を強めていた。この規定の結果、たとえば、ザクセン-アンハルト州は、8億ユーロ、約1000億円多く受け取ることになる。

社会保障、難民対応を含めて、かさむ費用に苦しむ州をサポートするには、連邦の出動を要する。そのための原資をどのように調達するか。ここに連邦国家としての団結、連帯(Solidarität)が求められるが、人々の抱く故郷、国家、公共に関する理解には、相当の幅がある。けれど、対応、解決すべき問題はより広域化、複雑化しており、より広い公共圏が生じていることも事実である。


by walk41 | 2019-03-29 08:59 | ドイツのこと | Comments(0)

各人に各人のものを jedem das seine

ドイツが第二次世界大戦中、ユダヤ人、ドイツ国内外の政治犯、アメリカ軍の将校まで拉致、閉じ込めた強制収容所(Konzentration Lager, Consentration Camp)を数多く設けたことは周知だが、そこでは収容者にとって大変皮肉なスローガンを伴っていた。

アウシュビッツほかの入り口には「働けば自由になれる」(Arbeit macht frei)という標語の掲げられたことが有名だが、このほかにも、ドイツ国内、ワイマールの近く、Buchenwaldの強制収容所ほかでは、"jedem das seine"(それぞれにそれぞれのものを)という、古代ギリシャにおける正義の理念に由来する言葉が使われていたことを知った。

http://www.migazin.de/amp/2018/05/24/jedem-seine-modeunternehmen-nazi-spruch/ より。
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この作品はドイツ人建築家、Franz Ehrlichによって製作されたが、それは彼が共産主義者であったために、この強制収容所に投獄されたことをきっかけにしていたと、wikipediaにある。

正義論が凶行を正統化することにもなる例と言えるのではないだろうか。人間はどこまで残酷になれるかということと合わせて考えてみたい。

by walk41 | 2019-03-25 12:26 | ドイツのこと | Comments(0)

おおらかさ Großzügigkeit, Ungenauigkeit

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いつまでも繰り言を言うのもいかがでしょうが、ふと思い出したので、紹介します。

2018年8月、一ヶ月だけ契約したドイツテレコムの画面には、2067年3月までインターネットが使える旨が示されています。それではあまりにもおおらかすぎるだろう、と苦笑したことです。こうした不正確なことにけっこう出合ったのが、ドイツ暮らしの一面でもありました。

by walk41 | 2019-03-24 12:49 | ドイツのこと | Comments(0)



榊原禎宏のブログ(Yoshihiro Sakakibara Blog) 教育学の一分野、学校とその経営について考えます(um die Schule und ihre Verwaltung und Management)
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