学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und Schulmitglieder

カテゴリ:ドイツのこと( 243 )

ここにもあったよ

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写真にある赤い椅子、この特徴がおわかりになりますか。
これは、底面が平板ではなく、彎曲している、つまり、安定して座ることのできない椅子なのです。

ドイツでHokky と呼ばれるこのタイプの椅子は、座る人の身体を揺ら揺らさせて、リラックスさせ、もって座学に集中させるという狙いをもっており、ドイツの別の地域の学校でも見ることがありました。そこの教員に「この椅子では生徒は集中できないのでは?」と尋ねたところ、複数が「この椅子の方が集中できると思う」と答えていたので、とても印象的だったのです。

驚いてこの学校の校長に、上の旨を話したところ、「この椅子がいいと聞いたので、私たちの学校でもどうなるかやってみようと思って、今回買ってみたの」と返ってきました。まったく柔軟にして、研究心溢れます。こんな校長こそ革新的と言えるでしょう。新しいアイディアを採用して、具体的な形に持っていくこと、その力量がいわゆるリーダーシップとして問われるのだと感じた次第です。
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by walk41 | 2016-03-23 22:01 | ドイツのこと | Comments(0)

こんなのいいなあ

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南西ドイツのある学校に伺った時、こんなプレートが教室の入り口に貼ってあった。

「学校は健康を害します。」これは「タバコは健康を害します」のパロディーだろう。

でも、言えてるよね。少なくともこれまでの学校って、しんどいし無理を求めるし、何より理不尽。だから、健康を害するというのは正しくもある。こんな表明を学校でできるのは健康的なことだ。

そして、これを見た校長が一笑に付してそのままにしていたというのも健康的だ。大真面目に取り外したりしたら、大したことのない校長だなあって思う。

学校にも大いに笑いを。
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by walk41 | 2016-03-17 22:54 | ドイツのこと | Comments(0)

選挙

ドイツでは、3/13にBaden-Württemberg,Rheinland-Pfalz,Sachsen-Anhalt の3つの州で州議会選挙が行われる。選挙カーや拡声器で運動することは禁止されているので、街中は静かだが、とくにBaden-Württemberg 州にとっては重大な選択時である。

というのは、選挙予想では現在の緑の党と社会民主党の連立与党目処が立っておらず、既存路線の変更と混乱が想定されるからだ。

新聞社などによる調査では、緑の党が3割を超える支持を得ておりトップを走る。続いて前政権与党のキリスト教民主同盟、社会民主党は2割を下回り、自由民主党は1割に届かず。左翼党も議席は見込めない。そして注目すべきは、AfD(ドイツのための選択肢)という、EUからの離脱や難民受け入れ拒否など、「ドイツ」を守れと訴える新政党が1割を超える支持を得ていることだ。緑の党は当初から、反原発をスローガンに掲げており、先回の勝利は福島原発事故があったからだとも言われてきたが、この5年間が評価されたからだろう。5年前の得票率を実に10%以上も上回る得票が見込まれている。

この状況は、選挙後どんな連立与党になるかが、非常に難しいことを意味する。現政権の組み合わせで過半数が見込めないとなると、たとえば緑の党とキリスト教民主同盟との連立も論理的にはあり得る。もっとも、両党の隔たりは大きく、私の勝手な解釈で言っていいのなら、日本の自民党穏健派と共産党穏健派(そうしたものがあると仮定して)の連立話に近いだろう。

とまれ、13日の結果次第だ。個人的には、緑の党と社会民主党の連立与党がいいな、そして何より大切なのは、ドイツのための選択肢、の進出を認めてはいけない、という立ち位置だ。国民を超える共感への想像力と寛容さが試される。
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by walk41 | 2016-03-11 23:11 | ドイツのこと | Comments(0)

女性教員

ドイツの学校で働く教員の多くは女性だ。初等学校では9割近くが女性だし、中等学校でも7割くらいを占めるだろう。いま伺っている学校でも同様で、今日は授業後の6年生の学年打ち合わせに同席させてもらったが、7人全員が女性だった。

その後で、女性教員が多いですねとお一人に述べたところ、男性教員が少ないことが問題だと言われる。なぜかと尋ねるとこんな話だった。

移民受け入れの優等生でもあるドイツには、多くのアラブ諸国からの子どもがいるが、たとえばトルコの男子生徒は、女性から教えられることに抵抗を示す場合があるのだと。男性優位の社会ゆえだろう、権威を持っているのは男性が多いので、女性教員に権威を認めない傾向にある。これは学校としてやりにくい面でもあると。

なるほどと思わされた。学校外の世界での経験が、生徒の行動の基準となっていること、だから、誰にでもできる教育実践など、相当限られた話として想定すべきこと、がよくわかる。

女性教員だから、あるいは若い教員だから、反対に年配教員だから、さらには生徒の生活感覚に近いから遠いから、と生徒の眼差しや振る舞いは変わってくる。教員自身が彼らからも影響を受けるだろう。こうした人間同士の関わりにおいて、「だいたいこうできる、こうなる」という部分と、「どうなるかわからない」や「どうしようもない」という部分を区分けすることができるか、考えるべきだろう。

この議論を進めるには、よる具体、実際に即して論理を組み立てることがいっそう大切だ。にもかかわらず、頭でっかちな教員は、「やり方を教えてほしい」とか「仮説の検証を通じて理論を打ち立てる」とか空想めいたことを頭に浮かべがちである。こんな机上の空論を弄ぶ教員や、この発想をもとに組み立てられる「校内研究」を変えていくこと、難しいけれど必至の課題だと思う。
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by walk41 | 2016-03-10 02:01 | ドイツのこと | Comments(0)

種類が違うのかしら

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春が近いとはいえ、緯度では樺太辺りに位置する南ドイツ、夜中の気温はマイナス3度まで下がります。

なのにというべきか、今日お邪魔した学校の校庭では、何と桜が咲いているではありませんか。

桜が寒い中頑張っているとは、観る人の勝手な思い込みですが、それでも元気をもらえるように思います。

熱い思いと論理を私に2時間も語ってくださった校長先生の勢いに飲まれたからかもしれないけれど。哲学あるいは倫理が教育を論じる時に不可欠という、当たり前のこと改めて気づかせてくださったので。いい時間を頂戴しました、本当に。
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by walk41 | 2016-03-09 00:26 | ドイツのこと | Comments(0)

どうかなあ

日本でアルファベットを見ると何気にオシャレに思ってしまうようなものだろうか。ドイツのテレビSAT.1 番組, auf Streifeで、びっくりする刺青を見た。

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ちょっと見えにくいのだけれど、右耳の後ろ下に、「友」と入れてある。漢字を使う一人としては、ちょっとどうかなあ、と思わなくはない。

オシャレだとか、カッコイイとか思うのも、その地域や時代の文脈に大いに依っていること、そんなことに気づかされる。
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by walk41 | 2016-03-06 17:19 | ドイツのこと | Comments(0)

わかりやすい話

ドイツを訪れている間、難民の流入が続く折、避難民の方々と地元市民との交流会があるから、覗きに来ないかと、友人に声をかけられた。

行きたいと返事しながら、「地元の人と避難してきた人の間にトラブルがあるのでは?」と、どこかで聞くような話を持ち出して尋ねたところ、すぐに返事が返ってきた。「それは、右派急進派(Rechtsradikal)が言いふらしていることであって、そんな事実は見られない」。

別の友人はこうも言った。「私たちは既に、トルコ、イタリア、ギリシャ、あるいは東ヨーロッパやコソボからの人々を受け入れてきた経験がある。今回のことも上手くできるだろう」と。

もちろん、彼らに認知上のバイアスが働いていないとは言えない。けれども、そういう見方やそれを裏付ける事実があることも踏まえる必要があるだろう。「新住民が大挙してやってきたから、衝突があるはず」と、わかりやすい話にすぐに乗らず、本当にそうだろうかと丁寧に吟味することの大切さを改めて感じた。日々、修行だなあ。
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by walk41 | 2015-12-04 14:37 | ドイツのこと | Comments(0)

どうしてこうなったの

何度となく書くことで恐縮だが、私の経験の限り、ドイツの鉄道はさっぱり当てにならない。

時間通りに来ることは稀と言ってよいほどだ。プラットホームが低くされているからか、数段の車内階段を経なければならないので、車両の乗り降りに時間がかかり、週末など大きな荷物を抱えた人が多い時期は一層だ。ドアのところで助け合う人々の様子は、微笑ましくはあるけれど。

数分遅れたくらいでは何のアナウンスもされないし、表示も出ない。遅れた電車に乗った後も、乗客へに説明やお詫びもよほど遅れているのでなければなされない。乗客はいわば「乗せてもらっている」状態で、お客様とは見なされていないと言ってよい。

車内の綺麗さも褒められたものではない。座席近くにごみ箱があるのはいいけれど、小さいためすぐに溢れるし、分別もされていない。大きな駅に停まった時など、掃除スタッフが回収に来るけれど、手づかみで取り出すので、汚ならしいし残るごみもある。うーむ。荷物棚のスペースは小さくて使いづらいし。

言い出せばキリがないけれど、電車のドアがどこで開くかわからない、進行方向に合わせて座席が動くことはない、乗換駅の案内は特急くらいしかなされない。何より路線図がなく、駅名を知らないと切符を買うことができない。なのに、目的地まで切符を持っていなければ検札で罰金を取られる。小さくアルファベットの順に示される駅名探しは骨が折れるし、我慢を強いられる。

こんなことを愚痴っていたら、ドイツ人の友人が言った。"Der Zug ist Abenteuer"(電車に乗るのは冒険だ)と。もう、そんなこと言わんといて。

これらおおよそ反対、たいてい時間通りに電車が来る、車内がまあまあ綺麗、くどいくらいでこれはこれで煩くもあるけれど車内外のアナウンスが充実、切符の乗り越しのできるのは当たり前、路線図は大きく色別で示されていたりもする、こんなことが普通の日本の鉄道は、凄すぎると思う。

ドイツ鉄道、どうしてこうなっているのかなあ。
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by walk41 | 2015-11-29 15:05 | ドイツのこと | Comments(0)

生徒による目標管理

南西ドイツの基礎学校にて、3年生の授業を見せてもらった。

ここでは、算数とドイツ語について、週ごとに必修課題がそれぞれ4つ、選択必修課題が1つ与えられ、自分の状況を児童が勘案しながら進めることになっている。また、課題をこなす際に活用すべき教材やツールが示されている。

教員はそれぞれの児童の様子をモニターし、適宜、アドバイスあるいはサポートすることが主な役割であり、クラスのすべての児童の前に立って、注目させ、説明し、発問し、課題に取り組ませるといった、たとえば日本の公開授業などで見られるような役回りは、担っていない。

多様性や異質性が重視される中、一人のあるいは複数の教員がすべての子どもの注目を引き、望む方向に向かせるといった考え方、仕掛け、そして行為は徐々であれ、想定されにくくなっているのだと感じる。翻って、日本の授業研究という代物は、いくらかの幅を持つものの「〜すれば、〜になるだろう」と、教員の働きかけがすべての児童や生徒に影響を及ぼすという、あまりにあまりに幼い、そして思考体力を欠いた枠組みで、あいも変わらずやり過ごそうとしているのだから。

授業を研究するという言葉をもし遣うのであれば、それは授業者や授業を行う環境を分析し、可能な変容を試みることに他ならない。子どもの自主性や主体性などと言葉遊びに終始し、実のところ何も彼らを信頼していないような授業を設計しようとする時点で、教員は失格である。彼らがいかに自力であるいは子ども達で課題に臨み、やり遂げられるように場を用意するのか。そのためには教員がいかに変わらなければならないのか。そんなことを改めて考えさせられている。
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by walk41 | 2015-11-24 01:12 | ドイツのこと | Comments(0)

「当たり前」が普通であることの凄さ

聞いていたとはいえ、びっくりするほど寒い南西ドイツに来ています。

大きな駅構内のコインロッカーにスーツケースを入れて3時間あまり、一時間あたり1.5ユーロなので4.5ユーロのはずがなぜか7.5と表示されています。同時に入れた人たちのロッカーは4.5ユーロと示されているのに。

文句の一つも言いたいところでしたが、電車の時間は迫っているし、何よりもスーツケースを取り出さねばなりません。なぜ3ユーロを余計に払わねばならないの? ええ加減な仕組みやなあ。

こんな経験は初めてではないけれど、当たり前に機械が動くこと、ましてやお札も使えたり、カードで支払いのできたりする進化を遂げている状況に馴染んでいると、ショックもひとしおです。普通の凄さを再確認させられます。
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by walk41 | 2015-11-23 14:15 | ドイツのこと | Comments(0)



榊原禎宏のブログ(Yoshihiro Sakakibara Blog) 教育学の一分野、学校とその経営について考えます(um die Schule und ihre Verwaltung und Management)
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