学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

カテゴリ:ドイツのこと( 505 )

できるだけ元データを示すべきだ

以下の3つの文章を読み比べてほしい。①と②は、ある事件に関するドイツのメディアによる報道で、③は日本語話者による時事紹介である。

①年末、バイエルン州のAmbergで、難民申請をしている17歳から19歳の男4人が、無差別に12人を襲い、うち1人は病院で手当てを受けることになった。警察情報によれば、彼らのうち3人はアフガニスタンから、1人はイランから。1人はシリアからという最初の報道は誤りである。現在、いくつかの留置所にて彼らの取り調べが行われている。危険な傷害罪(gefährliche Körperverletzung)の容疑である。(Zeit online, 20190102, https://www.zeit.de/politik/deutschland/2019-01/angriffe-amberg-joachim-herrmann-csu-pruegelei-asylbewerber-untersuchungshaft)

②12月29日の夜、12人が無差別に襲われ怪我をした。同夜、警察は容疑者4人を逮捕。いずれも若い難民申請者で、当時酒に酔っていた。検察による現在の情報では、加害者4人のうち2人はアフガニスタン、1人はシリア、もう1人はイラン国籍だが、うち2人については国籍に疑問がある。 ・・・ 12月30日の県警察の発表によると、怪我をした12人は16歳から42歳にわたり、駅あるいは旧市街の境で、殴る蹴るの暴行により怪我を負った。ほとんどは軽傷とのことだが、17歳の青年は病院に留まらなければならなかった。(Bayerischer Rundfunk20190103 https://www.br.de/nachrichten/bayern/angriffe-auf-passanten-in-amberg-was-bisher-bekannt-ist,RE5DSgJ)

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(川口マーロン惠美、日本メディアが伝えない「ドイツのまったくめでたくない年始め」現代ビジネス20190104)

いかがだろうか。③について、もちろん原稿締め切りの制約があるだろうから、一度報じられたことの訂正までは追いかけられないかもしれない。しかし、国籍について疑問があるとも述べられているのだから慎重であるべきだし、そもそも「その同じ夜」とあるが、12月29日と31日では明らかに違う(まさか「夜は同じ」の意味ではあるまい)。そして、29日は新年を祝う日ではまだないので、続く文言も誤りである。こう書いたドイツ語記事があったのだろうか。

また、難民問題という多くの人の関心が高いだろうテーマを取り上げるならば、「信じられない残酷さ」と記す際に、どんな加害だったのか複数の資料を参照すべきだし、何よりもニュースソースを示さなければならない。③では加害の様子について「残酷」とだけ述べ、読み手の想像力任せにしているが、②によれば素手での行為である。自ずと限りがあるだろう。

こうした③の書きぶりが、「難民怖い」へのミスリードを狙っているのではと思うのは、下手な勘ぐりだろうか。

ちなみに、③の前段、別の事件の起こった時間について「カウントダウンの打ち上げ花火の準備をしていた頃」とあるが、ドイツでの報道は「新年が明けた直後」(https://www.tagesstimme.com/2019/01/02/bottrop-essen-haftbefehl-nach-amokfahrt-in-der-silvesternacht/ )、あるいは「午前0:03」(https://www.presseportal.de/blaulicht/r/Bottrop )とある。なお、https://www.presseportal.de/blaulicht/pm/11187/4155570 では、「大晦日の23:45に犯人は歩行者への攻撃を試みたが、誰も怪我をすることはなかった」と報じた。いずれにせよ、③は不正確だろう。

これらから推測すれば、③の筆者はいい加減に記事を書いている可能性がある。「日本メディアが伝えない」というふれこみは結構だが、「ドイツメディアが伝えない」ことを捏造されては困る。


by walk41 | 2019-01-04 14:37 | ドイツのこと | Comments(0)

街の今昔 Damals und jetzt in der Stadt

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1914年まで開かれていた「子ども市場」を描いた絵と似た構図で撮った写真が上のようです。塔はもちろん、建物もあまり変わっていないように思いますが、いかがでしょうか。

家族のために山を越えて、また船に乗って南ドイツまで出稼ぎに来た子どもたちがここにいたんだと感じること、なおさらです。

by walk41 | 2019-01-04 06:13 | ドイツのこと | Comments(0)

情報操作 Information Manipulation

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南ドイツの学校博物館にて、年配の方から話を聴く。ナチズム期、家々にはラジオを置き、毎日聞かなければならないとされていたのだという。写真の右にあるように、そのラジオからは、音楽と太鼓、そして勝利万歳の叫びと歌声が連日流されたのである。

今でこそ、一方通行ではない複数のメディアを通じて、情報が刻々と飛び交っているけれど、新聞とラジオに限られた当時の環境では、それに抗う術もほとんどなかったことだろう。

by walk41 | 2019-01-03 22:38 | ドイツのこと | Comments(0)

「子ども市場(Kindermarkt)」

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2018年8月に「山地の農家の子ども」https://walk41.exblog.jp/28612200/ と記しました。1914年まで、今のオーストリアやスイスから山の貧しい地域の子どもたちが仕事を求めて、ここ南ドイツまでやってきたのです。彼ら、彼女らに畑や家事の労働力を期待した農家と、子どもたちを連れてきた大人、多くは司祭が交渉して労働条件を決め、それぞれに働き手として引き取られていったという児童労働の悲しい歴史です。

今回、その様子を描いた絵を見ていて気づきました。この街で有名な塔が真ん中に描かれているではありませんか。市役所の横に立つこの塔は、100年以上前のそんなシーンも眺めていたんだなと感じるものがありました。

by walk41 | 2019-01-03 07:02 | ドイツのこと | Comments(0)

子どもを利用する die Kinder ausnutzen

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「最年少のヒトラー青年」と紹介された、ドイツ第三帝国(1933-45)期のプロパガンダ写真です。同時期の日本はもちろん、第二次世界対戦後の社会主義国家でもそうでしたが、子どもをイデオロギーに染めて大人を鼓舞させるとともに、従わない大人を批判させる、さらには告発するように仕向けるといったように、子どもを政治利用する方法をここに見ることができます。南ドイツの学校博物館にて。


by walk41 | 2019-01-03 03:40 | ドイツのこと | Comments(0)

ニュースもグローバル化 Globalisierung der Nachrichten

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Stuttgarter Zeitung 2019.1.1 記事によると、ノルトライン–ヴェストファーレン州で、元旦の未明、花火を打ち上げるなど通りを歩いていた人たちの、外国人と思しきグループを狙って、クルマで複数回に渡って轢こうとした同州の50歳の男を逮捕した。男は少なくとも4人に怪我を負わせ、うち46歳の女性を生死の境に陥れた。男は外国人を殺そうと思ったと逮捕当初から語っており、意図的な外国人殺傷を狙ったことが明らかとなっている。

同記事では、ほぼ同時刻に日本の東京においてクルマに乗った男による、歩行者に対するテロ行為が起こり、9人が怪我をしていること、男が責任能力を問う精神鑑定を受けることを、共同通信社による報道として記している。

年始当初から、「外国人排斥」に関わる暗いニュースが流れたことを悲しむとともに、まるで同じ場所での出来事かのように、1万キロメートル近くも離れたところでの事件も合わせて報道される状況を興味深く思う。

Mit der Nachricht vom Angriff von Ausländerfeindlichkeit in Nordrhein-Westfahren, ist ein Terroanschlag in Tokio im Silvester mitternacht auch in diesem Artikel berichtet. Ich führe mich einer Seits traurig solche Verfälle zu hören, noch andere Seits finde interessant, als ob diese zwei Fälle ganz nahe einander passiert sind, trotz sie ca. 10000 Kirometer entfernt sind.

追記、日本でも以下のようにドイツの事件が報じられた(読売新聞)。報道のされ方の国際比較研究も面白いかと思う。
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by walk41 | 2019-01-02 18:19 | ドイツのこと | Comments(0)

大晦日の花火のあと nach dem Silvester-Feuerwerk

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https://www.sueddeutsche.de/muenchen/verbot-privates-feuerwerk-boeller-silvester-1.4270024 より。Süddeutsche Zeitung 2018.12.31.記事。

ドイツの大晦日は花火と言われるものの、実際に見たことはなく、ひとつ経験にと出かけました。夜の11時半も回ると、あちこちから人々が集まってきます。手には大きな花火あるいは新年を祝うための発泡性ワインとグラスです。すでに花火を放つ人もいて、ここかしこでヒューヒュー、ドンドンという大きな音と硝煙、そして強い臭いが鼻を突きます。

いよいよカウントダウンという段になると、待ちきれないかのように至るところで花火が上がりました。それぞれが勝手に持ち込んだ花火なので、そこに置かれていることを知らず、足下からいきなり炎が飛び出したりもします。しかも100連発はあるようなロケット花火です。一方で、ほんわかと線香花火を楽しむ人もいます。私たちも、近くの人から分けてもらいました。

けれども、回りを見渡せば、眩い閃光、つんざく音、明らかに霞むほどの煙、そして咳き込みかねない臭いが充満。もし実弾だったら、さながら戦場ではないかと思わされるほどです(あくまでも想像の限り)。あちこちでゲリラ戦が展開されているのでは、と慄くほど。花火のほか、爆竹をやる輩もいて長くバチバチと音と煙が続きます。通りに面した家の窓には硝煙の跡が付くほど。怪我人が出ても不思議ではないように思います。

そして朝、おびただしいゴミが残されました。写真はミュンヘン近郊ですが、市はこのゴミ処理に多大な労力を要することになると書かれています。大晦日の花火だけを取り上げるならば、「エコな国、ドイツ」など、残念ながら的外れもいいところでしょう。






by walk41 | 2019-01-01 22:46 | ドイツのこと | Comments(0)

寒いからこその夜景 schönere Nachtsicht in Kälte

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15世紀の建物も残っている街ゆえかもしれませんが、寒く透き通った空気に映えてか、夜景がいっそうきれいです。

by walk41 | 2018-12-31 04:45 | ドイツのこと | Comments(0)

クリスマスの余韻 Abgang der Weihnachten

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年の瀬も押し迫りましたが、街中はまだクリスマスの余韻を残しています。1月6日の顕現祭(公現祭)まで、きっとこのままでしょうね。

by walk41 | 2018-12-31 02:11 | ドイツのこと | Comments(0)

大晦日の花火 Silvesterfeuerwerk

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https://www.swr.de/swraktuell/baden-wuerttemberg/ulm/ulm-100.html より拝借。

「火災の危険があるため、旧市内(中世に築かれた壁の中、の意味)では、花火をしないでください」という市のポスターが貼ってありますが、大晦日は各地で花火を上げて、新年の訪れを祝うようです。日本ならば、花火は夏の風物詩でしょうが、それでも近年、カウントダウンの催しとして花火が上がるところもあるようですね。これもグローバル化の一つでしょうか。

Früher war Feuerwerk in Japan ein typisches Symbol in Sommerzeit. Jedoch neuerdings findet auch in Japan wie das in Deutschland oder weit in der Welt, Feste mit Feuerwerk ortsteile statt. Das kann man eine Phänome der Globalisierung greifen.

by walk41 | 2018-12-29 22:29 | ドイツのこと | Comments(0)



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