学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

カテゴリ:ことばのこと( 557 )

サルサソース die Salsa

「キャラバン隊」のように、外来語だけでは伝わらないと考えられたか、同じ意味が重なっている言葉がある。https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1163468376 には、

フラダンス/チゲ鍋/ガンジス川/サハラ砂漠/ハングル文字/クーポン券/アラーの神/生ライブ/ジャパンネットバンク銀行

とたくさんの例を挙げてくれているが、これもそうだとは知らなかった。「サルサソース」。スペイン語でソースをsalsaと指すとのこと。ドイツ語でも外来語としてSalsaが用いられている。なるほど。

そこで興味深いのは、この言葉の場合は、ドイツ語ではdie Salsa、スペイン語でla salsa といずれも女性名詞だが、たとえば、「手」はドイツ語でdie Handと女性名詞、スペイン語ではel mano と男性名詞なことだ。「どうしてこの言葉が男性名詞(あるいは女性名詞、中性名詞)なの」と単語を上げてはドイツ人の友人に尋ねるが、いつも「それはそうなの」と返ってくるだけ。悩ましくも面白い現象である。


by walk41 | 2019-03-17 15:51 | ことばのこと | Comments(0)

「らしい」という表現

京都新聞、20190315の投書欄、78歳の女性がエスカレータを二列で利用することについて、「外国ではエスカレータは歩かないらしい」と記している。明らかに間違いだ。

ヨーロッパでの私の少ない経験の限りでも、歩かないのは混んでいて歩けない状況においてのみであり、歩く人のために片方を開けておくのがマナーとすら言い得るかと思う。「らしい」とはどこから聞いたのか、本人すらよくわからないままに「そうなんやって」と流布している可能性がある。

世間話にいちいち口を出すのは上品ではないが、投書といえども公器の新聞、まことしやかに伝わることを防ぐ責務があると、私は考える。

ちなみに、投書の御仁は「急ぐ人は階段を駆け上がればいいのだ」と言われるが、長い階段の場合、これを忌避する気持ちは、自身を鍛えるためと自覚的な人除けば、おおむね共通するのではないだろうか。ましてや、荷物を携えているとその自覚もくじけがちだ。

乱暴な話だが、エスカレータの速度を上げれば、歩く人は減るかと思う。ドイツのある街で、びっくりするような速いスピードのエスカレータに乗ったことがあるが、怖くて歩くどころではなかった。クルマに乗っていて、飛ばしていくクルマを見たからといって、自分も加速する人は決して多くない。エスカレータの横で歩く人を見て、その速度と変わりない様子に苛立ちを感じるから歩こうとする、という仮説は支持されるだろうか。



by walk41 | 2019-03-15 12:44 | ことばのこと | Comments(2)

マニュアルの適切さ Angemessenheit der Manuals

ある銀行に電話をした。事実上、冬眠状態にしていた口座のことで問い合わせをしたのだ。

「もう10年以上も放っておいたので、わからないことがあって」と冒頭に伝えたのに、返ってきたのは「いつもご愛顧いただき、誠にありがとうございます」であった。「いや、久しぶりなんですけれど」と私が返したら、電話口の向こうでくすっと笑ったように思われた。

こうしたマニュアル通りの対応を「よろしくない」と言うことはできるけれど、かといって、柔軟に対応しようと窓口スタッフに任せるのも危なっかしいのかも。「お久しぶりです」と応えるのも、砕けすぎているように思うし。とくに顔の見えない電話でのやりとりでは、マニュアル第一でいいのかもしれないね。

ちなみに、電話口の方が風邪かなにか、何度か咳き込んでらっしゃったので、「こちらからのご説明は以上となりますが、他に何かございますか」と尋ねられたので、「お大事になさってください」と伝えたら、えらく驚かれ恐縮されてしまった。こら、電話で遊ぶなと、連れ合いから叱られそうだけれど。

by walk41 | 2019-03-14 12:14 | ことばのこと | Comments(0)

困る合言葉 unangenehmes Schlagwort

ある銀行の口座、インターネットでもアクセスできるように申し込み済なのだが、ずいぶんと前のことでパスワードがわからない。すると、合言葉が問われた。「好きな歌手の名前は」である。うーむ。

思いつくものをいくつか打ったが当たらず。さっぱり思い出せない。合言葉が誕生日や住所などではその筋のプロに見破られるとの配慮から、こうした合言葉が用意されているのだろうが、「最初に買ったクルマは」とか「好きな映画は」とかは、記憶がおぼろげであったり、一つに絞れなかったりするために、的確に思い出すことができないように思う。

結局、電話をして郵送で手続きをすることになったが、こうした情報をしっかり管理することが大切と思わされた。みなさんは、便利なはずのインターネット絡みで意外に多くの時間を費やすこと、ありませんか。

by walk41 | 2019-03-14 11:58 | ことばのこと | Comments(0)

微妙? komisch?

b0250023_14135598.png
https://www.karate-paderborn.de/news/517-karateka-auf-dem-weg-zum-schwarzgurt より。

たまたま見つけた、ドイツの空手サークルの写真です。後ろに掲げられる「道場」の漢字、「道揚」にも見えませんか。

難しいですね、違う文字を表記することって。日本に住む多くの人が、アルファベットに馴染める環境にあってよかったなと思います。

by walk41 | 2019-03-11 14:17 | ことばのこと | Comments(0)

確かめることの大切さ Wichtigkeit zu sichern

連れ合いと話をしていて、そうなのかあと驚いたことがありました。

ドイツ語話で恐縮ですが、das Muskat あるいは der Muskatnuss という表記を、スペリングに引っ張られて、長らく葡萄の一種のマスカットと思っていたのだけれど、実は英語でnutmeg、日本語でナツメグのことだと知ったからです。では、果物のマスカットはと言うと、der Maskat、英語ではmuscatになります。

つまり、英語/ドイツ語/日本語が、muscat/Maskat/マスカット、nutmeg/Muskat/ナツメグ、という具合です。aとuが入り交じるので起こる勘違いですね。

と同時にこうも思います。英語学習でスペリングミスをずいぶんと指摘されてきましたが、違う言語になると、スペリングが替わるのだから、あまり細かく言わなくてもいいんじゃないかな、と。多少のことは目をつむって、萎縮させないで学べるようにしてほしいな。

by walk41 | 2019-03-04 17:30 | ことばのこと | Comments(0)

貸切 exklusiv besetzt

ある宿に泊まった。貸切風呂と宣伝にあったので、大浴場とは別の風呂場を、ある時間占有的に利用できる意味だと思っていたら、あにはからんや、大浴場を宿泊客のあいだで分けあって利用する、時間制のこと(この時間以外は、風呂を利用できないということ)だとわかり、がっかりした。

さて、貸切と時間制、どう違うだろうか。コインパーキングを時間制駐車場とは言うけれど、貸切駐車場とは言わないだろう。貸切駐車場とは、月ぎめ駐車場のことである。また、団体旅行などで利用する場合、貸切バスとは言うけれど、時間制バスとは言わない。公共バスは貸切ではなく基本的に誰でも利用できるから、ある時間、ある席を占有していたからといっても、貸切とは言わないのだ。

このように、貸切と聞いた方が、共有で利用するものとは別途、占有的に利用できる意味を含んでおり、宣伝上、消費者により良く聞こえるように思う。

はたして、時間制に過ぎないのに、貸切と謳うことは誇大広告に当たるかどうか。皆さんはどう思われるだろうか。



by walk41 | 2019-03-01 16:35 | ことばのこと | Comments(0)

豊かさ論 Reichtum

日本経済新聞、2019.02.25 記事「見えざる資産、成長の源に 有形資産の1.5倍 Neo Economy 進化する経済(1)」を興味深く読んだ。

十分に理解したとは言えないけれど、惹かれたのは「快適さは豊かさ」という視点だ。もっとも、これは目新しいものではない。振り返れば、お金を対価に人にやってもらう、機械に任せることは従来からの快適さの追求でもあり、そのためにモノやサービスを生産する必要があったのだから。つまり、より快適であるためには、有形資産が伴わなければならなかった。

けれども、デジタル化革命は、モノよりも情報とその組み合わせによって富を生み出すことに成功した。たとえば、電子メールの普及によって、手紙を書く、封筒に入れる、切手を貼る、投函する、届けてもらうという一連の手間が省かれた。これによる省エネルギーは、紙と筆記用具、切手、収集、仕分け、配達に及ぶ。あるいは、インターネットの検索エンジンは、図書館に出かける、電車やバスに乗る、本を探す、コピーを取る(手書きで写す)という手間をほぼ除かせるに至っている。出かけなければいけないおっくうさ、交通費、食事代、重くなった鞄、雨の中を歩いて引いた風邪そして発熱、病院代、これらあれこれのモノを基本的に要せず、物事を進めることができる。何と快適なことだろう。

だから、いまの学生が卒業論文を記すのに要する労力は、自分の頃の数十分の一ではないか(それゆえに、論文に要求される水準も高まっているのだが)とすら思う。過去の学習指導要領ひとつを読むだけでも、インターネットがない時代は、図書館に行く、あるいは書籍を注文し(しかも長い間、待たなければならなかった)という労力を要したのに、いまはその場で望むものすべてを閲覧できる。しかも事実上、無料である。

GDPが豊かさの指標だった時代は昔となり、ブータン国王が提唱したという幸せ(happiness)指標にも関わるけれど、快適さ指標ともいうべきものが豊かさを測る物差しとして現実味を帯びてきたように思う。

by walk41 | 2019-02-25 18:14 | ことばのこと | Comments(0)

丁寧さ Höflichkeit, Vornehmheit

日本語について、とくに飲食店で聞こえる言葉に感じるのは、過剰なまでの丁寧さである。接客マニュアルとして事前に決められているものも多分にあるだろうが、臨機応変な対応として話される場合も多いように思う。

翻って、良し悪しはともかくも、そうした表現をドイツ語で聞くことはまずなく、それが日本語話者にとっての驚きや大変さ(しんどさ)に連なっているのではないだろうか。私が指しているのは、たとえば、次のような表現だ。

いらっしゃいませ。→ドイツだったら、hallo(こんにちは) かな。

あいにく、そのメニューは切らしておりまして、申し訳ありません。→ 「ありません」のみ。

10分ほどお時間を頂戴いたしますが、よろしいですか。→なし

ご注文、かしこまりました。→ OK が多いかな。ja,wohl(承知しました)という場合もあり。

大変お待たせいたしました。→なし。ただし、bitte schoen. Guten Appetit(どうぞ、召し上がれ)とは言われる。

お皿が熱くなっておりますので、お気をつけ下さい。→なし

真ん中に置かせていただいてよろしいですか。→なし

小皿をよろしければどうぞ→(分け合う文化が基本的にないので) なし

ご用がございましたら、そちらのボタンでお呼びください。→なし

お水/お茶のお代わりは、いかがですか。→なし(そもそも有料。ある中華料理屋で、頼んだジャスミン茶のお湯を足してほしいと言ったら、1ユーロ加算されたことがある。)

お皿をお下げしてもよろしいですか。→なし

おおよそこんな感じである。日本語での場合、くどいくらいの台詞の多さだろう。これでは、客が傲慢になり、いわゆるカスタマーハラスメントが起こるのも無理はない。

売り手と買い手は対等。だから、互いにそれなりに丁寧であることを願う。

Wenn man die Erzählung vom Bediener im Restaunrat in Japan hört, findet er sicher seine Höflichkeit. Viele von ihnen sind zwar als Manual vorher bestimmt, aber ich glaube sie sind manchmal jeglicher Fall gesagt.

Einige Beispiele kann ich hier zeigen, d.h.,

(Beim Eintreten) herzlich willkommen.
(Bei der Bestellung) Entschuldigung bitte, es fehlt jetzt leider.
(Bei der Zustellung) ich habe Sie lange für das Gericht warten lassen./ Sie müssten lang auf das Gerichte warten.
Passen Sie auch bitte, dass den Teller so heiss ist.
Kann ich diesen Teller mitten des Tisches legen?
Wenn Sie wollen, benutzen Sie dieses kleine Geschirr.
Wenn Sie noch etwas wollen, druecken Sie bitte den Knopf des Geraetes auf dem Tisch.
Wollen Sie (gratis) noch Wasser oder Tee?
Kann ich vielleicht den leere Teller von hier nehmen?

So ist das. Wenn man so viele nette Aeusserung hoert, kann es einfach die Belaestigung der Gaeste ergeben in Japan.

by walk41 | 2019-02-21 23:46 | ことばのこと | Comments(0)

バッテラ bateira

b0250023_16291638.jpeg

これまた、外来語のことです。大阪などでよく食べられるバッテラ寿司は、その形を指して、オランダ語のbateira から名付けられたと説明にありました。はしけ、小舟を指すそうです。ただし、他の多くの説明では、ポルトガル語に由来と記されています。

検索すると、A Bateira (小舟にて)というレストランがポルトガルにあります。英語では、cutter boat (カッターという日本語になっていますね)、bateiraとcutter、似ているような気もします。

写真は、福井県敦賀市の昆布館。

by walk41 | 2019-02-19 16:50 | ことばのこと | Comments(0)



榊原禎宏のブログ(Yoshihiro Sakakibara Blog) 教育学の一分野、学校とその経営について考えます(um die Schule und ihre Verwaltung und Management)
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
よなすさんへ コメ..
by walk41 at 09:40
さかきばら先生こんにちは..
by よなす at 03:01
よなすさんへ、コメントを..
by walk41 at 18:37
いつも興味深く拝読してい..
by よなす at 00:02
はじめまして、香菜子とい..
by 無力な教育者香菜子先生 at 13:53
お久しぶりです。お元気で..
by walk41 at 18:20
こんにちは。全くその通り..
by じゅくせんまさや at 15:08
「教え子を戦場に送るな」..
by Koji at 12:50
じゅくせんまさやさま、 ..
by walk41 at 05:02
いつも楽しみに拝読してい..
by じゅくせんまさや at 19:06
メモ帳
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
23.7時間と27時間の謎 ..
at 2019-03-19 16:48
すみません Entschul..
at 2019-03-18 14:53
サルサソース die Salsa
at 2019-03-17 15:51
喜びで泣ける仕事 Beruf..
at 2019-03-16 09:08
「らしい」という表現
at 2019-03-15 12:44
マニュアルの適切さ Ange..
at 2019-03-14 12:14
困る合言葉 unangene..
at 2019-03-14 11:58
福島 Fukushima
at 2019-03-13 14:38
微妙? komisch?
at 2019-03-11 14:17
すべては国家のために al..
at 2019-03-10 18:42
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧